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【クリスマスパーティー (2)】※微R18

「じゃあせっかくだし、私からも発表しようかなぁー。」 「何ー?」 「カナ、ケーキお願い。」 みなに言われてカナは冷蔵庫からケーキの箱を持ってきてくれた。 箱をテーブルに置くと、誠一に何やらお説教をしている。 「何? どうかした?」 手話の分からないAoiがにこやかな笑顔から、豹変したカナを見て気になったようだ。 「大丈夫。 冷蔵庫にお酒と炭酸水しか入ってないってビックリして、そんな生活してたら倒れるって怒ってるだけ。」 「ごめん、ごめん。 年始はお店休みのとこ多いし、何か買って入れておくよー。 え、待って…。…何買えばいいかな?」 誠一の生活能力のなさに今度はカナが溜め息をついていた。 「えっと、ケーキ開けていい?(笑)」 みなな箱を開けると"Merry Christmas"のプレートにと並ぶように"It's a Girl!"のプレートが追加されていた。 「女の子だよー。」 「おー!」 「わー! ベビーシャワーだっ! 女の子っ?!」 「そっかー! 楽しみだね。」 「えっ?! 何…?」 「…?」 パチパチと手を笑顔で叩くカナと凪、紅葉、誠一。呆然としているのは彼女の妊娠を知らないAoiとユキ、そして何故か夫である光輝は瞬きを繰り返していた。 「「えーっ?!」」 「っ!」 光輝とAoiの声に驚くユキ… 「お前っ! 妊娠してんのっ?!」 「女の子ー?!」 「そうだよ? あ、Aoi生まれるまで公表しないからオフレコでよろしく。 光輝くんは…男の子が良かったの?」 「マジかっ! いや、全く分かんなかった…! フツーにLIVE出て…? あ、だから最近ずっと配信系か…。」 「いやいや…っ! どっちがいいとかないけど…っ! でも…っ! 女の子? ほんとに? …あぁー…!どうしよっ! 絶対可愛すぎるから嫁に出せない。」 「…そこ?(笑)」 「ってか、光輝も知らなかったのー?(苦笑)」 「今日の検診で分かったから。 カナにプレート頼んでもらったの。」 「ふふ、おばあちゃんの予想が当たったねー!」 「そうだね。あとで電話しようかな。」 「え、大丈夫? 光輝…?」 「おーい! さっきの勢いはどうした?(苦笑)」 誠一と凪が心配するくらい光輝はフリーズしていた。 「今すぐ女の子用の服とオモチャを買い揃えないと…! あ!子供部屋の壁紙もピンクに変更した方がいいなっ!」 「…止めて。服はもう山ほどあるし、おもちゃも使う時になったら選べばいいって。 それに女の子だからってピンクが好きとは限らないでしょ?」 妻の指摘に少し落ち着いた光輝はそっか…と呟いた。 普段は仕事の出来る男だが、プライベートとなるとあたふたするばかりで、あまりの変わりようにAoiは引いていた。 「何あれ、ビョーキ?」 「光輝くんは赤ちゃんが生まれるのが嬉しすぎてちょっと…大変なの。」 紅葉の説明にへぇ…とそれ以上触れないAoi… 「赤ちゃんってミルクより重い?」 一方、愛猫とどちらが大きいのかと訊ねるマイペースなユキ。 「ミルクちゃん何キロ?」 「4キロくらい?」 「もっとあるだろ? お前エサやり過ぎなんだよ。」 「赤ちゃんは生まれたては3キロくらいだよ。」 「小さいんだね…。 あの…、生まれたら僕も抱っこしてもいい?」 「いいよ。 ってか、ユキくん、うちにも家事のバイト来てよ。光輝くんが何もするなって言うからさー。」 「え?いいけど…。僕、家事上手じゃないよ?」 「プロの他人より、素人の友達の方がストレスないからOK! お給料は光輝くんが落ち着いたら聞いてね。」 「…分かった。」 「しっかり働けよ、ニート。」 「…頑張るね。」 「だからユキくん頑張ってるって。 あ、無理しなくていいよ。 カナも時々来てくれてるから…。」 みなの言葉にユキは頷いた。 そして未だに動揺している様子の光輝… 「もー、飲めば?(苦笑)」 「そうだよ、このシャンパン美味しいよ。」 「いや、でも…!」 妊娠中の愛妻に何かあった時に酔っ払いでは父親になる身として…と、彼女の妊娠が分かってからは公私共に一切飲んでいない真面目すぎる光輝にみなも助言する。 「…今日はみんないるし、大丈夫。 クリスマスパーティーだよ? たまには飲んだら?」 彼女の笑顔に光輝はじゃあ少しだけ…と控え目に答えたのだった。 パーティー後… 「ルンルンっ!」 ご機嫌で帰宅した紅葉とそのすぐ後ろを歩く凪。 愛犬たちにただいまを言って、2匹を撫でた。 「予約しといたからもうお風呂沸いてるよー!」 「ご機嫌だな。 酔い冷めたならもう入る?」 光輝とみなの家で一緒にタクシーを降りて、酔い醒ましに少し歩いて来た2人…。 紅葉はうん、と答えると凪の手を取ってバスルームへ向かった。 「ふぅー…! 美味しくて、楽しくて、食べ過ぎました。」 「俺も少し飲み過ぎた…(苦笑)」 「ふふ…! じゃあキスしてもらっていいですか?」 「いーけど…。お前も飲み過ぎだな(笑)」 無駄に敬語を話す紅葉に笑いながらそう告げる凪。 いつものように紅葉を後ろから抱えるように湯船に浸かり、振り向いた恋人にキスをおくる。 「ん…っ。 ふ、…ん…っ! ぁ、えっちなのはダメ…っ! んん…っ! 溺れるっ!」 「…溺れる? 逆上せる、じゃねー? どーした?」 「いや、年が明けたら英語で話さなきゃと思ったら何でか日本語まで混乱してきて…!」 「何でだよ(笑) 一回日本語にしないと英語出てこなくなったのか? …しかし誠一がアメリカ留学ねー!」 パーティーの前に誠一からLinksのメンバーに切り出されたお願いは春からの半年間、アメリカの大学へ留学へ行きたいというものだった。 時期的にもみなの出産、育休と重なるのでLinksは活動休止の予定でいる。 なるべく迷惑はかけないと誠一は言っていたが、メンバーはそこは気にせずに勉強してきてと、快諾。 英語が苦手な彼の為に何か出来ればと、メンバー内の会話を英語にしようということになった。

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