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【連休の過ごし方】 (5) ※微R18

最初に動いたのは紅葉で、ガタン…っと、勢いよく椅子を立つと箸が落ちたが、構わず向かいのRyuのところへ行き彼の手を取った。 「おめでとうっ! 心配なこともあると思うけど、何か僕に出来ることがあればお手伝いするよ。 僕はRyuくんのドラムカッコいいって思うし、出来れば音楽は辞めないで欲しいな。」 社交辞令ではない、紅葉の本心からの言葉はRyuの心にも響いたようだ。 張り詰めた表情からフッと力が抜けて「ありがと…」と返してくれた。 それを見て凪も明るく話を続けた。 「ちょっと紅葉ー? なに他の男と手繋いでしかもドラム上手いとか褒めてんのー?」 「あ! 凪くん! これは違うよ!」 「…知ってる(笑) 目の前で見てたし(苦笑) …箸落ちたよ?洗っておいで。 ついでにビール持ってきて。 ってか、Ryuはまだまだだしー! ねぇ、マツくん?」 「え? うん、センスはいいよー。 若いし、パワーもあるし。 ドラムの技術面磨きたいなら凪に弟子入りでもしたら?」 「え? ちょっと、これ以上仕事増やさないでよー(苦笑)」 先輩2人のいつも通りのやり取りにRyuもホッとした表情を見せた。 「え、お願いしますよ。」 「お前がいろいろ落ち着いたらね。 仕事も光輝に言えば山程くれるよ。 あの人プロデュース業でクソ忙しいのに育休取るつもりだからさ。 事情話せば説教もされると思うけど、うちに来る気あるならメンバーと話しな。 まぁ、今は彼女が最優先でしょ。」 凪からのアドバイスにRyuは深く頷いた。 「お待たせー! ドイツのビールだよ!」 「乾杯しよー。」 4人で乾杯をして楽しく話をした。 「まだ若いし、同居もありじゃないかな? 二世帯って言っても外階段で完全分離ならアパートと変わらなくない?」 「そうだけど…!」 「まぁ、気は遣うよなー(苦笑) でも今は甘えとけば? こどもに金かかるだろうし。 無理だったら金貯めて出てくとかさ…手はあるじゃん?(苦笑)」 「ほんと、俺もRyuは音楽続けるべきだと思うし、真面目に働いてお金貯めて、こども産まれてからでもいいから結婚式はやりなよ? 彼女服飾専攻なら絶対ドレス着たいと思うからさ。」 「はい。」 「Ryuくん幸せだねー! 赤ちゃんにも優しい両親にも恵まれて! 素敵な家族ー! みんな一緒に暮らせるなんていいなぁ。」 「…紅葉くんって凪のご両親と仲いいの? もし同居してって言われても平気なタイプ?」 「もちろん! 僕実家でも家族多かったから全然大丈夫ー! ご両親にはすごい良くしてもらってるよ! でも凪くんの実家は京都の旅館だから時々しか会えなくて寂しいんだー。」 「来月春休みに帰るじゃん。 俺はツアーだけど、紅葉と犬たちは10日間実家にいる予定。」 「みんなでレゴのお城作るんだよー。 楽しみ!」 「何それ? 俺聞いてないし…(笑) …まぁ、そんな感じ(苦笑)」 「すごいね(苦笑)」 悪阻で実家で療養中だというRyuの彼女に何か出来ないかと紅葉はマツに許可をもらって奥さんからいただいたマフィンをお裾分けすることにし、しっかり寄り添ってあげてと励ました。 マツとRyuがタクシーで帰宅し、2人で後片付けをする。 「祝い事が続くなぁー…(苦笑)」 「そうだね! おめでたいね! Ryuくんの赤ちゃんもみなちゃんの赤ちゃんと同級生だって!」 凪の周りでも同級生たちが結婚や出産などちらほら聞こえてくる年齢になってきた。 ご祝儀用の貯金を増やさないとな…と意識しつつ、自分と紅葉は両方共経験することがないのだと改めて思うと少し周りとの“壁”を感じた。 こどもは無理でも“結婚”は叶えられるべきだ。 寝室で横になると、凪はふと湧いた疑問を紅葉に投げかけた。 「紅葉は幸せ?」 「…? 急にどうしたの?」 「んー? なんか。 この国だと同性は結婚出来ないからさ…。 ちゃんと幸せに出来てるのかとふと思いまして。」 「えー?(苦笑) 確かに日本の法律は悲しいけど、でも僕… 多分…世界で1番幸せなんじゃないかな?って思ってるよ。ホントだよ?」 笑顔でそう答えてくれた紅葉を凪は強く抱き締めた。 「紅葉のそういうところすっごい好き。」 「…ありがとっ! 僕は凪くんのこと全部大好きっ!!」 「可愛いやつー。 でもほんと。さっきRyuに言ってた言葉とか…優しさと純度100%みたいな?」 「そう?(笑) 内容は大したこと言ってないよー。」 「いやいや、気持ちが伝わるんだって。 …そういうのをさ、これからはちゃんと音楽の形にしていこう。」 「僕作曲苦手だよ…。」 いつぞやかは元マネージャーに“中身も作る曲もこどもっぽい”と言われたことがトラウマになっている紅葉。 Linksでは専ら編曲やレコーディング後のマスタリングを担当している。 「紅葉なら出来るよ。 売れる、売れないじゃなくて、お前らしいすごいいい曲が。」 「そうかな…?」 「あぁ。」 「…凪くんにそう言ってもらったら頑張れるかも。うん、…やってみようかな…。 マツくんの結婚式でオリジナルもちょっと弾けたらカッコいいもんね?」 「いいね。打ち込みいるなら俺やるから…一緒にやろう。」 凪にそう言われ、手をぎゅっと握ってもらった紅葉は大きく頷いた。 「うん! …あの、凪くん?」 「何? もう寝るー?」 「えっ?! まだ…寝ないかな…? …今日は優しいのでお願いします。」 「…今日もいいの? やっぱ連休最高だな。 えっと…優しいのね? 了解…!」 「しつこいのダメだよ?」と言う紅葉とくすくすと笑いながらキスを交わした。 End

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