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【日常と幸せ】 (1) ※微R18

「だからギャラはいらねーって。 俺が倒れた時はリオに頼むから…貸しでいいよ…。 え? じゃあもう労働で返せよ。今すぐ。 家来て。 …紅葉何か食べたいのある?」 「? メロン…!」 スーパーで見た美味しそうなメロンが1玉1580円で買うのを躊躇っていた紅葉は思わずそう答えた。 「メロンだって。 おー、じゃーな。」 電話はWIN2のドラムリオからだった。 すっかり体調は良くなったようだ。 「リオくん来るのー?」 「この前代理でLIVE出たからなんかお礼がしたいんだって。 うるせーから2段ベッドの組み立てやらせようと思って。」 「それはいいかも。 手伝ってもらえたら助かるもんね。」 何故2段ベッドを買ったのかというと、夏休みにドイツから紅葉の家族が遊びに来るためだ。 第一便で来日するのは祖父と紅葉と珊瑚のすぐ下の大学生の弟アビー、凪にオンラインで空手を習っているフィン、サッカー少年のアッシュの4人。 2人の家には客室が1部屋しかないので、祖父はみなと光輝の家に宿泊させてもらう予定。 ここには弟3人が滞在する予定で、凪はエンゲル係数が跳ね上がるなと苦笑している。 とりあえず寝る場所を確保するために今客室にあるシングルベッドを解体しレンタル倉庫に預けて、2段ベッドを置くことにした。 2段ベッドなのだが、スライド式のベッドも付いていて寝るスペースは3人分ある。 布団を敷くことも考えたが、普段ベッドの生活だし、並べて3枚布団を敷くと荷物が置けない…。 8畳の部屋に3人は少し手狭かもしれないが、ウォークインクローゼットの荷物も退かしたりしてなんとか生活して貰おうと思っている。 大掛かりな作業になるので凪のツアー前にやろう!と今日これから作業予定だった。 「よし、時間出来たから他のことしよ。」 「いいよー。 何する?」 日課のリズム練習も買い出しも終えたところだ。 「何だろうねぇー?」 ソファーに座り、含み笑いを浮かべた凪は紅葉を押し倒した。 「あ…っ! リオくん来るのに…?」 「そんなすぐ来ないって。 あ、コラ、平九郎! …後で遊んでやるから。 梅も、おやつだよ。 向こうで食べなさい。」 構って欲しくて寄ってくる愛犬たちにおやつのガム(特大サイズ)を与えて時間を稼ぐ。 「ん、明るいのに恥ずかしいよ…!」 「そこがまたいいんじゃん?(笑) …肌すべすべだね? なんかいい匂いするし…」 「あ…ッ! エステ行って…新しいボディミルクもらったの、を塗ってる…。」 「そーなんだ? じゃあこことか、ここも…ちゃんと磨かれたか確認しないとね?」 「んん…っ!」 凪の視線にドキドキしながらキスを受け入れる紅葉…。 夏本番を前にエステに行きすべすべになった紅葉の肌を凪の男らしい大きな手が滑る…。 お小遣いを貯めて時折エステに通う紅葉は日頃からスキンケアも頑張っているのだ。 女の子には敵わないのかもしれないけど、せめて好きな人にキレイだと、触れたいと思ってもらえる身体でいたい。 何度も合わさる唇が離れて、凪と目が合った。 「じゃあ…えっと……いっぱい触って?」 紅葉の台詞に凪は嬉しそうに微笑んだ。 1時間後… 「おー。早かったね? …もうちょい遅くても良かったのに。」 「そう? え、何で半裸? 暑いの?(苦笑) お邪魔しまーす…。 うわ、広っ! 何この豪邸…! 犬増えてるし…!」 お客さんに大喜びの平九郎と梅は遊んで!とリオに駆け寄る。 「わ! 食われる!」 「舐めてるだけだろ?(苦笑) あ、ホントにメロン買ってきたの?」 凪は立派なメロンを受け取った。 そこへ紅葉がバスルームから出てきた。 「リオくんいらっしゃい! あ、ごめんね。 犬苦手だったよね! 平ちゃん、梅ちゃん! ダメ、飛び付かないで。 ごめんね…繋いどこうか?」 ソファーの上で愛犬たちから逃れるように体育座りするリオを心配した紅葉はそう告げた。 内心は「ごめんなさい、さっきまでそのソファーでイチャイチャしてました…」と思い出しつつ、いろいろ汚れて拭いたばかりのソファーに気付かれないかハラハラしていた。 一方、どう見てもお風呂上がりの紅葉に一瞬言葉を失うリオ。何故こんな時間にお風呂? 凪もざっとシャワー浴びましたみたいな感じだし、情事後の色気が半端なかった。 「すぐ上行くし、別にいーだろ。 紅葉、それ丈が短いって。 もっと長いのに変えて?」 「暑いもん…」 「作業するのに危ないから…」 「はぁい…。」 リオは自分に見せたくないだけだろ、と心の中で悪態をついた。 ちらりと見たら紅葉の首筋にはキスマークが覗いていて、やっぱりな…と思うリオだった。 「…平、梅、おいで。 リオ、2段ベッドの組み立てやって。」 「えぇっ?! マジで?」 「その前に今あるベッドの解体も頼むね。」 「……えー。 それより先にそこの部屋見せてよー。 何この練習環境! 羨まし過ぎるんだけど…!」 リビングの脇にある防音の練習部屋に大興奮のリオ。当初の予定を忘れているようだ。 「…こいつらに全身舐めまくられてーの?」 凪の両脇にお座りしてリオ(遊び相手?オモチャ?)を見つめる大型犬… 御主人(凪)の命令に忠実そうで、ふざけていたら本当に食べられる勢いで舐められることになるかもしれない…… 「…すぐ働かせて下さい。」 そう答えたリオは凪から取説を受け取った。

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