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【双子のお出かけ】(1)
~珊瑚来日中の夏休み~
凪は仕事(LiT JのLIVE)のため不在。
翔は友人たちと飲み会で深夜の帰宅だったためまだ寝ている。
レニとサチはみなたちと買い物に出掛けた。
暇になった紅葉は珊瑚を外出に誘ってみることに。
「せっかくだからリアル双子コーディネートしようよ!このシャツ色違いで持ってるから貸してあげる~!」
「嫌だ。だいたいお前のサイズじゃ小さい。」
「…そんな変わらないでしょ!
オーバーサイズのシャツだから着れるよ!」
出掛ける前から揉める2人…
こんな時はじゃんけんで決めるのが小さい頃からのルールだった。
結果、紅葉が勝って無理矢理お揃いを着せられている珊瑚は不機嫌だ。
それでも洗面所で並ぶ2人…
身嗜みの準備に余念がない。
「紅葉ー、日焼け止め貸して。」
「いいよ。はい…。顔はこれね。」
「ん。 …なにこれ…なんか変。」
「トーンアップ効果のある日焼け止めだよ。」
「……女子か。 フツーの貸して。」
トーンアップは気に入らなかったようでバシャバシャと顔を洗う珊瑚。
「あぁ! もったいない…!
可愛く見えるのに…。」
その後もパウダーを乗せたり、美意識高めの準備に抜かりのない紅葉を遠目に眺めながら待つ珊瑚。
「お前はいったい何を目指してんの?」
「僕なりの“カワイイ”だよ!
珊瑚カメラ持った?
さぁ、行こうー!」
ご馳走するからと紅葉に連れられてきたのはいきつけのドイツ料理店だった。
みなと光輝の結婚パーティーでお世話になったので珊瑚も知っている。
「なんで…?」
祖国の料理なら普段から食べている。
珊瑚は寿司が良かった!と紅葉を睨んだ。
「僕が食べたかったからー!
あとHPに載せる写真変えたいって言うから撮ってあげてよ!
…こんにちはー!」
紅葉は店主夫妻に挨拶をして久しぶりの再会に盛り上がった。
「美味しかったねー!」
「あぁ。確かに旨いよな、ここ。
いろいろサービスしてもらったし…
でもお前…さりげなく俺の仕事増やしてるだろ?しかも金にならないやつ。」
「えー、いいじゃん、別に~!」
見た目は似ていても性格は全く違う2人…。
でも大人になった今でも仲は良くて、下らない話をしながら歩く。
「一昨日だっけ?
翔くんとデートどうだった?
浅草に行ったんだよね?
楽しかった?」
「え?
あー、まぁ…。
土産だけ買った。
暑くて途中で引き返して後はずっとラブホにいた。」
「………。
昼間から?
ラブラブだね…っ!」
「まぁねー。
涼しくて汗も流せたし、満足。」
「凪くんが珊瑚の雰囲気が落ち着いたって言ってたよー。…翔くんと結婚したからだよね。幸せそうでほんと良かった。」
「そう?
あんま変わらないと思うけど…っ!」
照れ臭いのか珊瑚は足早に歩き始めた。
「あ、待ってよー! 珊瑚ー!」
その後はコンビニに寄って、珊瑚に新作のお菓子を買ってもらった。お昼をご馳走した代わりらしい。
2人はその足で入院中のユキの元へ向かう。
珊瑚も彼とは面識があり、倒れたことを話したらとても心配していたのだ。
「死にかけた割に元気そうだな。」
「うん。
久しぶり。」
「珊瑚!
ごめんね、口が悪くて…
これ今日のお見舞いー!
看護師さんに確認したら少しならいいって。
デイルームに行って3人で食べよ!」
心臓マッサージの影響で肋骨を3本骨折しているユキに合わせてゆっくり移動し、先ほど珊瑚に買ってもらったお菓子をテーブルに並べた。
「そっか、振ってやったのか。
優しいなユキは。」
「うん…。
別に優しくないよ…。
自分勝手なだけ。」
「そうか?
え、じゃあユキは今フリーってこと?
退院したらまた彼氏作るの?」
「珊瑚…っ!
ユキくんだってそんなすぐに切り替えられないよ!ねぇ…?」
「んー…まぁ…。
恋愛はもういいかな(苦笑)」
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