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【君と僕が恋人になるまで。】(葵×雪人) (3) ※R18

※一部、葵以外とユキとの絡みがあります。 「あ、激しいのやだっ! 葵! お願い! 無理…!」 ガツガツと腰をぶつけていた葵はストップをかけられて不機嫌になる。 荒い息を繰り返すユキに体力無さすぎ…と告げる。 「またー? いつまでもこれじゃあ…だから後ろでイケないんじゃね? 怖くねーよ?」 「でも…! ホントに無理で… じゃあ…しない…!」 「…! じゃあ俺も…激しいのは他のヤツとするわ。」 「…っ! 僕も…! 早漏じゃない人と経験積むから…っ!」 「あ、そー。 お前みたいなマグロが相手にされるかねー? ってか俺は早漏じゃねーし!」 「ぅう…!」 すれ違いから喧嘩になったり、いつしか葵が他の人と寝てきた形跡が見られるようになってもユキは何も言わなかった。 バンドマンの彼がモテるのは分かっていたし、自分とは住む世界が違うのだと理解しつつ、それでもユキは同居生活をやめて出ていこうとは思わなかった。 ただ、激しい行為は無理だとだけは訴え続けた。 普段の彼は優しいし、ユキが飼いたいと言った猫もあっさりOKをくれたし、すごく可愛がってくれている。 「葵もネコが好きなんだね。」 「動物の中では割りとな。」 ユキは愛猫ミルクと葵が遊んでいるのを眺めるのが好きだった。 ミュージシャンとしてカッコつけてる彼も素敵 そんなある日… 「お前ホスクラなんて行く金あったんだ?」 「え? あ、これ? 紅葉くんのお友達?知り合いに連れられて…」 「ちゃっかり名刺までもらってんじゃん?」 「うん。 こういうの…どーしたらいいのかと思って…。」 普通は恋人に見つかる前に捨てるのだろうが、まぁ、恋人ではないし… ユキは扱いが分からないらしい。 葵は嫉妬心から妙なことを言い出した。 「連絡してみてよ。」 「え?」 「俺も行きたい。 この純ってやつ、指名して飲もうぜー?」 ガッチリ決め込んだ葵はサングラス片手にユキとホストクラブにやってきた。 飲みっぷりのいい葵にホストたちも盛り上がる。 ユキは葵と純に挟まれてどうしたらいいのか困惑していた。 「ねぇ…お兄さん、男もイケる人でしょ? こいつとヤりたいの?」 「なっ!」 「さっきから視線がヤらしー…(笑) ね、この子細い腰がエロいっしょー?」 葵はホストの男に絡み始める。 「葵…っ! 失礼だよ? 飲み過ぎだからもうそろそろ…」 「…この後付き合えよ。」 「えっ? …アフターってこと? 悪いけど…」 初対面で無理難題を言う客に付き合う必要はないと、断ろうとする純に葵はニヤリと笑って耳元で囁いた。 「そう。 3人で…どう?」 葵の発言が聞こえたユキは言葉を失った。 結局酒の勢いもあり、3人で利用出来るホテルの一室に来ていた。 「葵…、あの…!」 多分ホストクラブに出入りしたことを葵が怒っているのだろうと戸惑うユキ。 葵はそれを無視してソファーにドカっと座った。 手には缶ビール。まだ飲むらしい。 「何突っ立ってんの? どーぞ? ヤりにきたんでしょー? 俺は見学ー。」 葵との行為を見せるのかと思っていたユキは真逆の展開に驚く。 「ほら、ユキ。 経験積むんでしょー? 頑張って。」 「っ!」 葵がそれを求めるのならと純の手を取るユキだったが、緊張からか俯き、身体は力が入ったままだ。 触られたらそれなりに興奮もするし、気持ちも良いのだが、何もかも葵とは違ってユキは羞恥と困惑の中にいた。 「お兄さんー、そいつマグロだからつまんないでしょ?」 酒を飲みながら口を挟む葵。 「…肌もキレイだし、初な反応がカワイイ。 …右より左が好きでしょ?」 「んん…っ!」 胸の飾りを摘ままれてくぐもった声を漏らすユキ。 手慣れているのはやはりホストだからなのか、ゴムとローションを纏った純の指が後口に当てられてビクリと反応するユキ。 葵よりも体格のよい彼の指も太くて長い、圧迫感に驚いたユキの足がシーツを蹴る。 「や、ぁ…っ!」 「いいとこ見つけた…。 ここ好きでしょ?」 このまま本当に最後までするのかなと考えるとユキは急に不安でいっぱいになった。 葵より、上手いのかもしれないけど、純の愛撫はユキには強すぎて少しツラい。 何より身体と心のバランスが追い付かなくてユキはそっと葵を見ると、葵もビールを片手にじっとユキを見つめていた。 「っ!」 名前を呼びたかったが、他の男とベッドにいる自分にそんな権利はないと感じていた。 「ホントにいーんだな?」 純が確認すると葵は短く「あぁ」と答え立ち上がると背を向けてバスルームの方へ歩いていった。 その瞬間ユキの目からは涙が溢れていた。 思わず葵に向けて伸ばした手をシーツの上に投げ出したまま、動かすことが出来ない…。 純が何かをユキの耳元で囁く。 「……葵…だけがいい…っ!」 決して抵抗はしてないのに、胸元で合わせた手は震えていて、何より永遠と涙を流すユキを見た純はそのままベッドを降りた。 そのまま足早に葵の元へ向かう。 「あ…? 何?」 「…殴っていい?」 「はっ? って!何すんだよ!」 肩パンチを食らった葵はよろけて純に文句を言った。 「あんたバカじゃねーの? 人を当て馬にしてんじゃねーよ!」 「んだよっ!」 「ユキくん、そいつと別れたら俺のとこおいでねー。」 ユキにハンカチを渡して涙を拭くように告げるとそのまま純は服を着て出ていってしまった。 「あんな一途な子、お前みたいな奴にはもったいない」と葵にこっそり告げて…。 残された2人は無言… ユキは急いで涙を拭いて近くにあったバスローブを羽織ると葵に近づいて言った。 「あの、ごめんね… 次は…ちゃんとやるから…っ! 僕…、もっと、上手に…なって…」 言葉を詰まらせるユキはやはり震えていて、それを見た葵は驚き、思わず彼を抱き締めた。 「あれ? ごめ…っ、何でだろ…! 泣くつもりじゃ……」 今まで葵の前で泣いたことのないユキが泣いている。 ボロボロ泣くユキを前に葵は「もういい。 ごめん…ユキ…」と告げて抱き締め続けた。

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