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【Links秋の遠足 1】
アルバム3枚分のレコーディングはかなり大変だった。
それでもなんとか期日内に終わらせることが出来たのは奇跡に近い。
まだまだ作業は残っているし、細かい調整をしていくうちに録り直しもあるとは思うが…とりあえず一段落…。
しかも1日早く終わった。
普通はオフにあてるか、先の作業を進めるのだが、Linksのリーダー光輝の選択は違った。
「わぁーい!
ぶどう狩りーっ!
ぶどう、ぶどうっ!」
早朝からご機嫌かつ誰よりも元気なのは紅葉。
平九郎、梅と共に凪の車で移動中。
運転している凪を眺めるのが好きな紅葉は、眺めるだけでは飽き足らず、こっそり写真も撮った。
「ちょっ…!盗撮ー!
ナニに使うんですかー?(苦笑)」
「コレクションですっ!」
胸を張ってそう答える恋人に吹き出す凪。
長距離の移動も飽きずに乗り越えられそうだ。
一方、完全夜型生活を送っている誠一は眠ったまま光輝の運転する車に押し込まれていた。
みなと愛樹も眠そうだ。
事の発端は、先日TVでぶどう狩りをする親子を見ていたみなが、
「いいなー。そろそろうちも遠出出来るかな? 行ってみたいね。」と愛樹に話しかけていたのを見て思いたったらしい。
家族3人で行けばいいところをメンバー全員でぶどう狩りに行こうとするところが彼らしい。
ビデオカメラを回しているのは愛娘の成長記録を録るためだけではなくて、もしかしたら編集してFC用の映像にするためかもしれない…。
渋滞もなく、お昼前に無事に目的地の山梨県へ到着。
寝起きの誠一は「え…、ここどこ?」と本気で驚いていた。
光輝が受付と撮影許可を得ている5分の間に紅葉はぶどう園のおばあちゃん(葡萄園のご主人のお母さん)と仲良くなっていた。
犬にぶどうをあげたらダメだと言うおばあちゃんがここで平九郎と梅を見ててくれるというので、お言葉に甘えてお願いしてぶどう狩りを楽しむLinks一同。
因みに大人しくて人懐こい2匹は客寄せとして大いに役に立ったようでおばあちゃんに喜ばれた。
愛樹は始めてのぶどうに興味津々でメンバーたちにサポートしてもらい、ぶどう狩りの真似事をしてとても楽しそうにしていた。
みなが果汁を与えるとペロッと舐める姿が可愛くてその様子を撮影する光輝は幸せそうだった。
「次これにする!」
紅葉が指差したぶどうを切り落とすのは凪の役目だ。不器用な紅葉はハサミで指まで切りそうになり、見ていられないと撮影していた光輝に禁止されてしまったのだ。
「はいよ。
ってか、まだ食べるの…?
俺はもういいよ?」
「美味しいから無限に食べれる!」
紅葉は凪が驚く程次々にぶどうを口に運んでいた。瑞々しくて甘いぶどうに大満足の紅葉。
シーズンの終わりの平日、少しばかり顔が売れている彼らにとっては混んでいなくてちょうどよかった。
「お土産用に他の種類のぶどうもあるらしいよ?
あと、近くにテラスのあるカフェ?ご飯屋さん?があってペットOKだって。」
誠一がマダムたちから情報を仕入れてきた。
スマホで検索するより早くて正確な情報だ。
受付へ戻り、平九郎と梅を引き取る。
お礼がてらお土産を多めに買おうと凪は紅葉に告げた。
「うん!
池波のおじいちゃんとユキくんと…!」
「…って、何食ってんの?」
「おばあちゃんがくれたよ!」
試食の漬物と一緒におにぎりを頬張る紅葉。
お茶まで差し入れてくれるおばあちゃん…。
思わず苦笑する凪。
マダムたちに教えてもらったお店へ移動してテラスで遅めの昼食を取った。
隣で焼き物の手作り体験が出来るというので、みんなでチャレンジした。
意外な才能を見せたのは誠一で、見事に美しい器を作り出した。
「誠一くんすごい!
上手ー!」
紅葉は思わず手を叩いて誉めた。
「そう? でも使い道考えてなかった。
灰皿にでもしようかな…
でも愛樹ちゃんのおかげで禁煙出来そうだしなぁ…。うーん。」
「ファンプレにしたら?」
みなの提案に頷いていた。
彼女は愛娘用に小さなお皿を作っていた。
光輝は愛娘の手形を押し当てて記念品にするそうだ。
それを見た紅葉は真似して誠一の作品と比べるとだいぶ歪な器に平九郎と梅の足形をつけていた。
「あぁ、わんちゃん用のお皿なのねー!」
係のおばちゃんに微笑ましく見守られていた。大人しく足型を取らせてくれる平九郎と梅はここでもお客さんたちの人気者だった。
凪は少し大きめの皿を作った。
自作の料理を盛り付ける予定である。
後日焼き上がったら配送してくれるというのでみんなで楽しみに待つことに。
その後、光輝とみなは愛樹のお昼寝時間に合わせて帰宅するというので、凪と紅葉はせっかく来たのでもう少し残ることにした。
誠一も誘ったが、夜中にネット番組の仕事もあり、邪魔したら悪いからと光輝たちと共に帰って行った。
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