155 / 204

【ホワイトデーと思いやり (2)】※R18

パークのHPをスマホ画面で見せながら楽しそうに話す恋人を横目に凪は告げる。 「俺このまま朝まで作業するから駅まで送るよ。」 「えぇっ?! そんな…! 悪いよ…。 凪くんだって疲れてるでしょ? 寝ないと…。」 確かに、根気のいる作業が続きそれなりに疲れてはいるのだが… 「でも寒いし…」 「それは凪くんだって同じでしょ? 風邪ひいたら大変だよ?」 「いい。 …送る。 一緒にいたいから…。」 「っ!!」 押し問答の末にそんなことを言われたらもう何も言えなくて… 紅葉は彼の肩に手を置いて、そっと感謝のキスを贈った。 「ありがと…。」 そのまま凪を見つめると彼の右手が紅葉の後頭部を支えるように回り、再び唇が重なり深く口付けられた。 「ん…っ ふ…ぅ、…ん。」 絡み合う舌先と呼吸… 強く、近くなる抱擁… 「……このままだと押し倒しちゃうけど…?」 凪は少し困ったような表情を浮かべながら紅葉に聞いた。翌日の紅葉の予定を考え、躊躇しているのだ。 しかし紅葉は… 「うん。 僕も同じこと考えてた。」 「…いいの? 明日いっぱい歩くのに身体…ツラいかもよ?」 「ツラくないもん…」 「OK…じゃあ ツラくないコースね。 あ、待って。俺風呂まだだった。」 身体を離そうとする凪の腕を引く紅葉。 「え、待って! 大丈夫だよ。 ジムのあとシャワーしたでしょ? ……やだ、行かないで。」 「…(苦笑) あー、じゃあ紅葉だけしよっか?」 「やだ…!それはダメ…! いいから早く…! さっきみたいにギュってして?」 恋人の答えに困惑し失笑する凪… それでも紅葉の要望に応えたのだった。 抱き合うと互いの温もりと息遣い、鼓動が感じられてホッとするのだ。そして愛おしさともっと触れたい気持ちが込み上がる。 ソファーに押し倒され、凪を見上げる紅葉は両手を伸ばして彼を求めた。 「ん、んんッ! は、ぁあ…っ!ん、や、ぁ…アッ!」 「紅葉……!」 2人で熱を放ち、狭いソファーの上で抱き合う…。休む間もなくキスを繋ぐと身体の熱が冷めきらないうちに再び互いを求めた。 「あ…ん…っ! ん…ねぇ…。こっちもして?」 身体の奥で疼く熱に我慢出来なくなった紅葉は凪にそうねだった。 「…いーよ。 待ってて。ローション向こうだ…。」 凪はそう言って一度ソファーから立ち上がると、PCデスクへと向かう。 「…なんでデスクに?」 「え? この前愛樹がここ(ソファー前のテーブル)の引き出し開けようとしてたからこっちに移したんだよ…(苦笑)」 「っ!!」 動き回るようになってきた幼い子の手に渡らなくて良かったと赤面する紅葉だった。 結局… 普通にガッツリ…ソファーで抱き合った2人…。 触れ合いだけにする予定だった凪も、動きにくい狭いソファーの上での行為は久しぶりで…逆に燃えてしまった。 紅葉も…きっかけを作るのは苦手だが、ついつい2回戦目をおねだりしてしまった。 因みに愛犬たちは夜中の作業中、PCの灯りが眩しいだろうからと用意した専用のテントの中で熟睡中… 起こしてしまわなくて良かったとホッとして顔を見合わせて笑う2人…。 長時間の休憩中に凪のスマホにはLIT Jのメンバーからたくさん連絡が来ていたようだ。 お風呂上がりで乱れた髪をからかわれながらも珍しくアタフタしている凪… 紅葉の身体は…特にツラいところはなく。 凪の為にコーヒーを淹れられるくらいの余力はあった。 付箋に“お仕事頑張ってね!”と添えてそっとデスクに置く。 それを見た凪が視線を合わせて微笑んでくれるだけで幸せだった。 心地好い疲労感と満足感…そして紅葉の首もとや胸元は紅い痕でいっぱいだ。 情事後はなんとなく恥ずかしいけど、でも離れがたくて…凪にお願いして毛布を持ってきてもらい、紅葉はこのままソファーで朝までの数時間を眠ることした。 電話の話し声が途切れると優しく髪を撫でてくれる凪の存在を感じながら幸せな気持ちで眠りについたのだった。

ともだちにシェアしよう!