162 / 204

【約束】(2)

「もーう…!なんかムカつく通り越して純粋に興味出てきたっ!(苦笑) 中身までイケメン過ぎない…?! 既婚でも遊んでる人なんて山ほどいるよ? なんでそんな一途でいられるの? モテるのにー!もったいないよ! …どこがいいの?」 「なんだろうね…俺も上手く説明出来ないんだけどさ(苦笑) 多分性別とか国籍、年齢じゃないんだよね…。 俺には"あの人"じゃないと意味がない。 あとは…向こうが出会った時からずっと変わらないからかな…。熱量というか…芯みたいなもんがさ。」 2人の関係をすべての人に理解してもらおうとは思ってないが、唯一無二の存在なのだと伝える。紅葉を想いながら話す凪の表情はとても穏やかだ。 そのタイミングで個室に明るい声が響く。 「こんばんはー! お待たせー!ゆーじくんだよ! なんか盛大なのろけが聞こえてきたけど、大丈夫そう?(笑)」 「遅いよー! ダメー!この人見た目に反してすっごい真面目でめちゃくちゃ甘過ぎるんだけどー!(笑)」 「そうなんだよねー! もう分かっちゃった?(笑) あやなちゃん今日の服可愛いじゃん! ってか…気合い入ってるね?(苦笑)」 「でしょー?ありがとー! 全然意味なかったけどねー(苦笑)」 「そんなことないよー? あ、ビールもらっていい? …どーも。 俺とかこの溺愛っぷりを見たり聞いたりが日常だからさ、不思議なことにだんだん慣れるんだよ!(笑) で、今日嫁さんどーしてんの?」 「嫁って…(苦笑) …家にいるよ。」 「スゲーよな(笑) 家ってこいつの実家だし、旅館なの知ってる? 2人でいろいろ手伝ってるんだって。 あやなちゃん同居OK派?」 「えー……無理そう。家事とか苦手ー(苦笑)」 「だよねー(苦笑)」 紅葉も家事はそんなに得意ではない。 でも自分が出来るところは一生懸命やってくれるし、それが義務感からではないのも皆に伝わっている。 旅館の雑用から外国人宿泊客の通訳や、スタッフの悩み相談…。 先日退院した義父の身の回りの世話まで自ら手伝っている紅葉。 やっぱ今時貴重だよなと改めて凪は思った。 万が一にもないが、浮気等で紅葉を泣かせでもしたら実家の家族は紅葉に見方し、凪は勘当されるだろう。 あやなとゆーじが話し始めたので、凪はグラスを傾けながら2人を見守る。 LINEの着信通知が来てたので確認すると紅葉からで…断りを入れてから個室を出てかけなおす。 「…どーした?」 「あ、あのね…。 ユキくんと一緒にお風呂に入ってもいい? だめ…?」 「……まぁいいけど…、風呂って温泉?家の? ユキは入っても大丈夫なのか?」 心臓に持病のある紅葉の親友ユキ。 凪は念のため確認した。 「温泉。先生に聞いたら5分くらいなら浸かってもいいんだって。一人じゃ心配だから僕もと思って…」 「そっか…。 いいよ、 義くんに言って空いてる貸切借りな。」 「ありがとう。 …邪魔してごめんね。」 「あ、紅葉…!」 「何…?」 「約束、守るから。」 「…うん。分かった。」 凪が改めてそう告げると紅葉は少し明るい声でそう応えてくれた。 外に出たついでに会計を済ませて席に戻る凪。 「凪は年の割に落ち着くの早いよなぁー!」 「そう? まぁ、ゆーじと比べたら多少はね?(苦笑) 仕事も含めてやりたいことけっこうあるから集中したいしね。」 「ふーん…。 全然遊ばないんだ? ホント意外だし、あやなの周りだと珍しいよ!なんかフツーに感動! ねぇ、聞きたいことないー?」 「友達やメンバー、仲間内で飲んだりはするけどね。そーいう意味での遊びは興味ナシかな。 んー…、あ。この辺で美味しいスイーツの店…、この時間でもまだやってるとこ知ってる?」

ともだちにシェアしよう!