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「LINKするカラー」(1) ※微R18
「ねぇー!いいでしょー?
ちょっとだけだから…!」
「……でもなぁ…」
「ねぇ、凪くん…!
お願い…っ!」
上目遣いで可愛いパートナーに「お願い」されると強く出られない凪。
これは何年経っても変わらない。
ちょっと困ったような、遠慮がちに凪のご機嫌を伺う紅葉の表情は何故だか夜の時を連想させる顔にも似ていて、つい「いいよ。」と返事をするのを引き延ばしてしまうのだ。
否、今回の「お願い」に関しては本当に悩んでいるからで……
「んー……。
だって傷んだらさー…。」
こんな綺麗な髪なのに…と、紅葉の髪を指先に絡めながら凪は呟いた。
紅葉の「お願い」の内容は何のことはない、「カラーリングしてみたい」というものだった。
日頃から(凪が)手入れを欠かさない紅葉の髪は色合いなど見た目はもちろん手触りも凪は気に入っている。
最近はカットの時は一緒に行って出来上がりをチェックしたり、一緒に行けない時は担当者にイメージを電話で伝えて写真を送ってもらったり…ちょっと…過保護だ(苦笑)
これが従姉妹のみなならば旦那(光輝)の意見など全く気にせず自分のしたいようにカットもカラーリングもするところだろう。光輝も別に何も言わない。
現に今の彼女は明るい金髪に紫のインナーカラーを入れている。
紅葉としては凪の嫌がることはしたくないし、凪に似合ってる、可愛いと思ってもらえなければ意味がないとも思っているので説得は続く…。(ちなみに今日で5回目)
カラーリングによってイメージが変わることで紅葉の気分転換になるのは良いのだが、より魅力的になり邪な考えをもった厄介者が寄ってくることを懸念している。
凪がソファーに座りつつ頭を悩ませていると、紅葉はもうひと押し…と凪の膝に乗り上げた。
「凪くんも染めてるじゃんー。
いいなー、アッシュ系似合って…!
僕…凪くんとLINKする色にしてみたいな。」
なるべく可愛く見えるように呟く紅葉。
バンド名を文字った一言に凪はピクリと動きを止めた。
「………。
それって………ちょっと計算したでしょ?(苦笑)」
「ふふ…っ。
バレてたー(笑)」
笑い合う2人。
紅葉は今日はここまでにしようと切り替えたようだ。
凪に前回いつ美容室へ行ったか聞いたり、自身の話ではなく凪のことを話している。
凪は紅葉の後頭部を支えるように大きな右手を伸ばす。サラ…と凪の長い指が紅葉のブラウンの髪を掬う。
「……紅葉…キスして?」
「……!
…んっ…。」
ふと、真顔に戻った凪に言われてドキっとする紅葉…。慌てて唇を合わせると…
「んー、もっとちゃんとしたやつ。
俺をその気にさせるようなキスが出来たら……いいよ?」
「っ!
うん…っ!」
(全く関係ない)条件付きOKに喜ぶ紅葉。
懸命に舌を絡め、リップ音を立てたり、角度を変えながら濃厚なキスを仕掛けていく。
「ん…っ、
…ふ……。
は……っ、ん。」
途中から目的も忘れてキスに夢中になり、指を絡ませて手を繋ぐと必死で凪の舌を追いかける紅葉。
「……これいいな。」
「……?」
少し呼吸も乱れ、身体の中心も熱くなってきていて身を捩る紅葉。
絶体その状態に気付いているはずの凪は笑顔で告げる。
「しばらく毎日これして?
んー、そうだな…5分以上のキス。」
「…っ!!
…でも…。…我慢できなくなっちゃうよ…!」
と、小声で告げる紅葉の顔は真っ赤だ。
「紅葉ー。
美容室行くの楽しみだなー?
ん? …もっとキスいる?」
キスで終われるわけがないのは分かっているが紅葉の答えは1つだ。
「……うん…っ」
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