180 / 204
【仲直りはその日のうちに】(2)※微R18
少しの間を置いてガチャとドアが開く音がしたので、紅葉は駆け寄り、勢いで目の前の人物に抱きついた。
まだ何て言うかまとまってなかったが、早く仲直りしたくて、いつも通り凪と…LINKSのみんなと楽しく過ごしたくて気持ちが焦ったのだ。
「凪くんっ!
あの…っ! ごめんなさい…。
お鍋、僕が新しいの買うから…許してくれる?
……?」
一気に告げたが、何やら感触や匂いに違和感があって、身体を離して相手を見上げる紅葉。
「ビックリした…!
ごめんね…、僕でした(苦笑)
鍋ってなに?壊したの?(苦笑)
凪なら今来るよ。」
謝った相手はまさかの光輝だった。
後ろでみなが笑ってる声が聞こえる。
「っ!
ごめんなさい!
間違えちゃった!」
寧ろ間違えた相手がメンバー兼身内(みなの夫)の光輝で良かった…。
紅葉が赤面しているとちょうど帰宅した凪と目が合った。
「……これ。
コンビニ行ったら売ってたから…。」
差し出されたビニール袋には先日紅葉が食べ損ねて悔しがっていたチョコまんが入っていた。
もう1つの袋には紅葉の好きなお菓子やアイスも。
「こんなに…?いいの?
ありがと…。
…あ、寒かったでしょ!
コーヒー淹れるね!
凪くん……、えっと…お帰りなさい…!」
謝罪の言葉よりも今はそう伝えたくて笑顔を向けると凪も「ただいま…。」と、微笑んでくれた。
先程の間違えたせいか、緊張が取れてきちんと凪の目を見て、話せた。
凪の隣に立つと、いつもの彼の雰囲気を感じられた。ホッとしたら自然と頬が緩む紅葉。
「手、冷たいね。」
「さすがにな…(苦笑)」
絡めた指先を温めるようにギュっと握った紅葉に凪はそっと「ごめん…」と呟いた。
その後はLINKSのメンバー5人で練習の前にティータイム。
愛樹は保育園なのでちょっとさみしいねと言いながらコーヒーとお菓子を囲む。
「結局喧嘩の原因って何だったの?」
「えっとね…
僕が凪くんの大事なお鍋でどんぐりを煮ちゃって…あの、虫対策!
こどもたちの手作り楽器に使うやつで…。
でもうちで一番いいお鍋で…!
僕が使う前にちゃんと確認すれば良かったんだけど…ごめんね。」
「いーよ。
俺も怒ってごめん…。
もうすぐドイツ行くのに仕事終わらなくて焦って…寝不足だし、イラついて…。」
「凪くん…!」
無事に仲直りする2人を見て深いため息をつくみなと喧嘩してたの?と不思議そうな光輝、今回一番身近で心配していた誠一は苦笑しつつそんな理由だったのかと顔は固まっていた。
「いや…その視線は勘弁してよ!(苦笑)
他にもいろいろあんだよ?
まず、俺は3日帰れてねーし!
マジで想定外!
ビックリする程、LIT Jの方の曲作りが全然進まなくて!」
「あぁ…。
恋煩いが2名、いつ我が子が産まれるかでハラハラ1名だもんね(苦笑)」
「葵は作詞は休暇中にするって言ってソロの仕事ばっかしてるし…!」
「そっか…。
凪くん大変なのに…僕ちゃんと分かってなくてごめんね…。
すれ違いで僕も寂しかったけど、スタジオだからって連絡するの遠慮してた…。
これからはなるべく顔見て話すようにしようね。
あと…やっぱり仲直りはその日のうちにしよう!」
「…あぁ。
ありがと、紅葉。」
2人の様子を見てホッとする3人。
「…はぁ…。
じゃあ…解決?
よし!誠ちゃん、光輝くん、先に準備しとこう。
2人もちょっとイチャイチャしたら来てよね。」
みなは席を立つとギターの2人を連れてスタジオの方へ向かった。
「あぁ…了解(笑)
紅葉、1日遅れだけどちゃんと仲直りしよ。」
「っ!ぅん…っ!」
そっとキスを交わして微笑み合う2人。
紅葉は久しぶりに髪を撫でられ、幸せを感じる。そのまま頬に触れる凪の優しい手に自身の手を重ねもう一度キスをねだった。
END
ともだちにシェアしよう!

