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【スエットと思いやりと…】(1)

LINKSファンクラブチャンネル配信放送 この日の担当は凪と誠一。 曲を流しながらファンの子からの質問に答えていく。 リアルタイムでコメントも見れるので交流の場としては最適だ。 「寝る時の格好? そんなの聞きたいの?(笑) えー、別に普通だけど…(苦笑) だいたいタンクトップと下はスエットとか…なんか適当に。」 凪の答えに誠一が驚きの表情を見せている。 「え、真冬も…? 寒くないの?(苦笑)」 「いつも筋トレして風呂入って寝る感じだから寧ろ暑い…(苦笑)」 「健康的だねー! 『紅葉くんが体温高いからですかー?』っだって。これ一緒に寝てる前提の質問だねー。」 「…一緒に寝てますよ。 でもこれ以上は喋んないからな(笑)」 「冬って人肌恋しい季節だよねー。 因みに僕はわりと寒がりだからモコモコのやつ着てます。」 「誠一ってわりと質感に拘りあるからスゲー手触り良さそうなの持ってそうだな(笑)」 「確かに!手触りも着心地もいいですよー。 あ、『紅葉くんは何着て寝てますか?』だって。」 「だから喋んないって…!(苦笑)」 「明日から休暇でしょー? 少しくらいみんなに置き土産してってよ。」 「(苦笑) えー…、んー… 服着てる時は俺のスエット着て寝てるって答えたら満足?(笑)」 この日も大いに盛り上がった。 帰宅後… 「あー…疲れた。」 深夜までみっちり仕事をこなした凪は思わずそう呟きながら帰宅した。 明日から休暇だが、結局いくつか事務仕事が残っているし、解放感より疲労感が強い。 「パッキング終わってねーけど…もう明日でいいや。とりあえず軽く筋トレしてシャワー…で、3時間くらい寝よ…。」 頭の中で唱えてたはずが、つい声に出してしまうくらいには疲れているようだ。 ガチャ…とリビングのドアを開けると、ぐっすり眠る愛犬たちとソファーには何故か毛布を被った紅葉の姿。 「あ。凪くん! お帰りなさいー!お疲れ様! 寒かったでしょー!」 「紅葉…、まだ起きてたのか?」 「楽しみなのと緊張のせいかなんか眠れなくて…!」 まるで、遠足前の子供のようなことを言う紅葉。 それも仕方ない。 明日はいよいよドイツへ向かう日なのだ。 「そっか(笑) まぁ…移動で寝ればいーけど、とりあえず少し横になろう。あ、明日ゆーじが空港まで送ってくれるって。」 「えー、ホントに? いーのかな?」 「空港デートしたいらしいよ(笑) …まだ寝ないならホットワインでも飲む?。」 「うん。あ、大丈夫。自分で出来るよ。」 紅葉の髪にキスを落とし、平九郎と梅の頭を撫でた凪は筋トレをしたあとバスルームへと向かった。 寝室にて。 凪に腕枕をしてもらい、彼の耳元や首筋に鼻を寄せる紅葉。 もちろん身につけているのは凪のスエットだ。 下は大き過ぎるので自分のパジャマだが、凪の匂いに包まれて眠ると安心するらしい。 「ちょ…っ! くすぐってぇよ…(苦笑)」 「あ、ごめん! つい…!」 「そういえばマツくんの子の匂いもめっちゃ嗅いでたよな(笑)」 渡独前にLIT Jマツの長男に会いたくて、日中2人で面会に行ったのだ。 凪は久々に見る新生児の小ささに驚き、紅葉は抱っこさせてもらい可愛いを連発していた。 「うん!凪くんの匂いはもちろん好きだけど、赤ちゃんの匂いは格別!最高ーっ! 可愛かったねー!」 よく分からないが、紅葉が満足そうなので良かったと凪は重たくなってきた目蓋を閉じた。 「ふぁ…眠ぃ…。 もう寝よ。 おやすみ、紅葉。」 「あ…、おやすみなさい。」 凪は額にキスをしてくれたが、物足りなくて紅葉はそっと唇を合わせた。 優しく抱き込まれて入眠モードの凪を見上げながら、紅葉の目はまだパッチリと開いていた。 凪の邪魔をしないようにそっと鎖骨や胸筋を指でなぞったり、大きな手に自分の手を重ねて繋いでみたり、脚を絡ませてぴったりと密着してみたり…。 しかしそうしているうちにもっと凪に触れたくなってしまった。 「凪…? 寝ちゃった…?」 「んー…? 何…? 眠れねーの?」 目を閉じたまま紅葉を抱き寄せる凪。 スエットの長い裾の下から紅葉の細い腰に手を当てるのが好きでつい無意識に触っている凪。

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