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【スエットと思いやりと…】(4)
こうしてバタバタしながらもなんとか出発。
「悪いけどちょっと寝ていい?」
凪の申し出にゆーじは「お好きにどーぞー」と軽く答える。
因みに紅葉は車が走り出して2分で寝た。
相当…濃厚な夜だったんだろうな…と察するゆーじ。
紅葉は凪の肩に顔を寄せて、膝の上に置いた指先を繋いで眠る2人。
助手席からそっと後ろを覗いた要が小声で呟いた。
「…すごく幸せそうに寝てる。」
「…ホントだ。」
バックミラー越しに2人を見たゆーじも穏やかに笑う。いつもなら写メを撮ってあとから凪をからかうところだけど、あまりにも自然体な2人の寝顔に今日のところはいいかと思ったのだ。
優しく笑うゆーじの横顔を見た要が下を見つめながらだが、切り出した。
「あの…!
2人みたいに…ちょっとだけ手、繋いでみたい…んだけど…、イヤかな?」
「っ!」
ちょうど信号待ちで車を止めたゆーじは一気に心臓が高鳴るのを感じた。
「繋ごう…っ!
是非っ!
あ!待って! 手汚いかも…!」
ゴシゴシとジーンズで掌を拭うゆーじ。
それを見た要は笑いながらそっと手を重ねた。
「あ…、これじゃあ繋ぐ形じゃなかった!」
慌てて手を離す要の指先を追うゆーじの左手。なんだか中途半端に要の人差し指と中指だけをギュっと握る形になってしまった。
「や、大丈夫…っ!うん!
あ!ってかこれから高速乗るからまた後でちゃんと……!
その…外でもそんな人いないとこもあるだろうし…!」
「…!はい…。」
空港デートが楽しみになった2人だった。
END
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