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【手のひらの温もり(2)】※微R18

こうやってお互いムキになって言い合うのもなんだか懐かしかった。 テレビ電話やLINEもするけど、やっぱり対面で話すと余計にそう感じる。 「…なんか懐かしくて笑えてくるな。 …お前は相変わらず好き好きオーラ出してるよなー。」 「だって大好きなんだもん!」 「……そーですか。」 「…珊瑚も"好き"は伝えた方がいいよ?」 「いやいや…!今更…? いろいろ難しいな…(苦笑)」 「…? I LOVE YOUはそんな難しい言葉じゃないよ?」 「そーじゃなくて…!(苦笑)」 「とにかく… 好きって言葉でも伝えたら、なんかね、自分もすごく幸せー!ってなるよ!オススメ! エッチも…僕が技術面で珊瑚にアドバイス出来ることないとは思うけど、苦手なこととか…言ってもいいんだよ。 いろいろあって…その、エッチの時にメンタル影響する時もあるでしょ…? その時…雰囲気壊したくないとか気になるけど…それでも不安だって自分の気持ちもを言っても大丈夫なんだって分かったんだ。 本音を伝えるって勇気がいるけど、大事だよね。 …クリスマスだし、頑張ってみたら?」 たどたどしくも、紅葉の伝えたいことは理解出来て…珊瑚は自分の気持ちと向き合おうと少しだけ前向きに思えた。 「……ん、まぁ…考えとく。 えー、じゃあお前は本音言えてるってこと?」 「うー…全部じゃないかもだけど… 好きな人の前では素直な気持ちでいたいから… あ!因みに今の本音はね… 凪くんと一緒にお風呂に入りたい! 出来れば温泉!湯船ーっ! お義母さんの玉子焼きが食べたい! あと…平ちゃんと梅ちゃんに会いたい…。」 勢いで話してたのに急にしゅんとする紅葉…。 「……。 実家(ドイツ)にいるのにホームシックかよ…(苦笑) なんだかんだでお前の方が欲望に忠実だな(笑) そろそろ行くぞー。 これ、ご馳走さま。」 「いーえ。 はぁい。行こうー!」 「なんで手繋ぐんだよー(苦笑)」 「いーじゃん!こどもの時みたいで!」 お互い暮らす国が離れるとは思わなかった。 生まれた時からずっと一緒にいた大事な片割れ…。 紅葉の留学を機に離れてから何かを失くしたように心細い時もあったが、恋人や家族、友人に支えられて2人は大人になった。 手のひらに伝わる温もりは昔と変わらず…懐かしい気持ちになった2人は仲良く歩き出したのだった。 END

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