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【恋愛の進め方(3)】

凪とゆーじが話している間、防音部屋へ移動した紅葉は要から相談を受けていた。 「今日はどんな曲にしようかー?」 「優しい感じのやつ…ゆっくりの…。 あ、あの…!」 「はーい! ん?」 「…すごく仲良しだね。」 「えっ?! 僕と凪くん? あ、えっと…そう、見えた?」 紅葉は照れながらも嬉しそうに答えた。 「うん。 羨ましいな…って思った。」 「僕も、ゆーじくんと要くん仲良しに見えたよ?」 紅葉が優しくそう言うと要は頬を赤らめながら話してくれた。 「初日の出、見に行って…その時…キス、出来たんだ…!」 「そっかー!それはロマンチック! 良かったね!」 「うん。嬉しかった…! でもその先は…まだそういう雰囲気になったことなくて…。 ゆーじくん、自分では全然モテないって言うけどいろんな人…女の子からも新年会のお誘いが来て…、ほとんど断ってくれてるけど…付き合いとかもあるし…! なんか不安、なんだ…。」 自分のために彼の交友関係まで狭めてしまうのはちょっと違うとも思うし、でも誰かに心を奪われて別れを切り出されないかと心配なのだ。 「誰かにとられちゃうかもって? んー、そうだよね…。 …でもそこまで気持ちがいってるなら焦らなくてもいいと思うよー! すごーくいい意味で進んでると思う! ゆーじくんを信じてあげて! 今、2人でいるの楽しいでしょ? 今日みたいにみんなでいても、2人が笑い合ってて見てて素敵だなって思ったよ!」 「ホント…? カップルに見える?」 「うん。 好きな人と一緒にいて楽しいな、この人のこと好きだなって実感しながら過ごせたら幸せだよね。」 「…エッチしたら、そういう気持ちが変わったりしないかな? あの、嫌われたくなくて…。 ゆーじくんはゲイじゃないし…そこが怖い。」 紅葉には要の気持ちがよく分かった。 昔を想い出しながら、凪を想う。 「そっか…。 僕もそういう不安あったよー。 ずっと自分に自信がなくてさー…。 でも…、踏み出してみたら凪くんとの距離が近くなってすごーく幸せで…! 上手く説明出来ないんだけど…大好きが溢れて…全部がキラキラして…魔法にかかったみたいな気持ち! じゃあ今日は…恋の曲を弾くね。」 そう言うと紅葉はヴァイオリンを構えた。 それから… ガチャ… 「要くん寝ちゃった…。」 紅葉はしばらく曲を弾いて、いつの間にか要は壁にもたれたまま座り込んで眠ってしまった。 「お。マジか(苦笑)」 「ソファー連れてく?2階の客間でもいいけど…。俺たち練習入るし、せっかくだし添い寝したら?」 凪が言うとゆーじは急にあたふたと動揺している。 「えぇっ?!」 「一緒にお昼寝?いいねー。」 「いや、えっと…!」 夜よりはハードル低いはずだ、眠らなくてもいいから添い寝の練習しとけ。と凪が告げる。 結局、ゆーじの力ではソファーに運ぶのが手一杯だったので、ゆーじは要を膝枕して愛犬たちと休憩だ。 要の穏やかな寝顔を見てゆーじはホッとする。 「良かった…。 ってか、俺ももうちょい鍛えないとなぁ(苦笑)」 そんな2人をリビングに残して、凪と紅葉は防音部屋に入る。 凪は紅葉に聞いてみた。 「…寝落ちして起きたら彼氏が膝枕してくれてたらどう?」 「っ! キュン…ってなるっ!」 「だよなー。 俺たち…出てくタイミング難しいな…(笑)」 「ふふ…!そうだねー。 よし、とりあえず練習しよ!」 今度はベースを準備した紅葉は気合い十分で凪にそう告げた。 旅行したり、走り回って遊んだり、ご飯作ったり、旅館の手伝いをしたり、イチャイチャしてるだけではない。 これから本業の方がだいぶ忙しくなりそうなのだ。 自分たちも前に進まないと。 「よし…っ!やるか…! いつものリズムトレーニングからな? 紅葉…宜しく…!」 「…うんっ!」 凪もドラムセットを前に座り、紅葉と拳を合わせた。 END

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