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【お泊まり会】(1) ※R18
2月下旬…
雪人の実家で紅葉と要と3人でのお泊まり会が決まったのはLIT Jのツアーファイナル数日前のことだった。
3人ともパートナーがLIVEのリハーサルや打ち合わせで忙ししく、タイミング的にもちょうど良かった。
実は雪人の母が一番嬉しそうにしている。
紅葉は自主練と池波の通院の付き添い、愛犬たちの世話を終えてから合流したばかり。
「手伝ってもらってごめんね。助かる…!」
まずはリビングで紅葉の内職(?)をする3人…。
間も無く卒園シーズンになるので記念品のメダルを折り紙で作成中なのだ。
元幼稚園の先生だった雪人の母も「懐かしいわねー!」と言い、夕食作りの前に何個か折ってくれた。
「任せて! 僕得意だよ…!」
「あれ…? ここ…こうだっけ?」
入院生活が長かった雪人は得意気に折り進め、「折り紙なんて何年振りだろう…?」と呟く要にも教えている。
無事に折り終わったあとは、みんなで夕食作りのお手伝い。
「凪くんみたいに上手じゃないから恥ずかしいんだけど…」
と、遠慮がちな雪人の母の手料理は優しい母の味といったイメージでとても美味しかった。
「お母さん…、こんなにたくさんおかず作ってくれてありがとう。」
「ユキくんママ!美味しいよー!
僕カボチャ大好き!おかわりしてもいい?」
「…美味しいです。
実家にいた頃を思い出します…。」
雪人、紅葉、要の言葉にホッとした笑顔を見せてくれた。
片付けと順番にお風呂を終えて、これから雪人の部屋で男子会の始まりだ。
缶チューハイとビール、雪人にはジュース、そしてお菓子…準備は万端。
男子会で、恋人も同性の3人が集まれば話題はもちろんパートナーとの恋話。
「えー?
さすがに食事中はキスしないかなぁ…(苦笑)」
そう呟いたのは紅葉の親友、雪人で…
「そんな…いつもじゃないよ?
ちょっとあの時は…、その…愛が溢れて…!」
「すごい…っ、ラブラブ…!
何年経っても大好きなんだね。」
必死に弁明する紅葉と、クッションを抱えながら感心する要。
「本当に紅葉くんたちはお似合いだし、ラブラブだよね!
ねぇ、2人はどのくらいエッチする?」
「えぇっ?!」
「あ…!」
雪人の質問に飛び退いた紅葉は缶チューハイを倒し、要が急いで拭く。
「あ!ごめんね…っ!ビックリして…!」
「大丈夫だよー。
…で?せっかくだから教えて?
こういうのネットとかで調べても参考にならないし…!
最近はどんな感じ?
2人とも忙しいからけっこうすれ違いじゃない?」
同じ仕事(バンド)で一緒に暮らしていても、他の仕事もあり、多忙な凪と紅葉…
確かにすれ違いも多い。
「やっぱり生活時間違うと大変?
そーいうことするのがとかだけじゃなくて…その、普通に…喧嘩とかにならない?」
要も興味深いようだ。
「えっと……!
最近は…凪…くんが…、夜遅いから…
朝?早朝が多いかも…?」
「朝活かぁ…!」
雪人がなるほどと頷いている。
話しやすくなるようにと紅葉に新しいお酒を勧めていた。
紅葉はそれを受け取ってグビっと飲むと、2人の視線に堪えるられずに話し始めた。
「凪くんが寝入る時、ギュってされて僕が起きかけて……そのまま一緒に寝ちゃう時もあるけど、ちゅーされて、我慢出来なくなって……みたいな…っ!」
その頃合いで一回凪が引こうとするので焦るのだ。
そう、いつもこんな感じのやりとりをする。
「ん?…しないの?」
「…したい?」
「…だってもう…っ!
凪が起こしたんだからいじわるしないでよ…」
「…ごめん。
寝てるのにすり寄ってくるのが可愛くてつい…!(苦笑)
怒った?
なぁ紅葉ー……抱きたい。
…ダメ?」
大好きな凪に耳元で甘く囁かれたらダメなんて言えるはずもなく、もちろん怒ったり喧嘩にもならず、紅葉はいつもキュンキュンしながら腕を伸ばすのだ。
「凪…っ」
思い出したのか紅葉は真っ赤になりながらクッションに顔を埋めた。
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