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【お泊まり会】(3) ※R18
※要の過去話の一部に暴力表現があります。
前に遊びに来た時より広くなった雪人の部屋は3人で過ごしても余裕があり快適だ。
どうやらリノベーションしてもらったらしい。
ベッドには大きなジンベイザメのぬいぐるみ、壁には沖縄の写真が飾ってある。
一角には黒のチェストとゴツめのアクセサリーやサングラス…どうやら葵も頻繁に訪れているようだ。
雪人から沖縄旅行の話を聞きつつ、笑い合う3人。
「あ!そうだ…!
……これ、お土産…!
お菓子の他にもあるんだよー!」
雪人からウミガメのぬいぐるみストラップをもらった紅葉は可愛いと大喜びだ。
紅葉から2人にはドイツのお菓子と要にはルームライトを、雪人にはリクエストされた珊瑚が撮った紅葉の地元の風景写真も。
田舎だが、海外特有の綺麗な景色に夢中になる雪人と、場所の説明をする紅葉。
「ここ学校だよー!」
「わぁー!お洒落!」
「あ、あの…!僕もあるんだ…けど…!
お土産…!」
要は緊張しながらそう切り出すと2人にそっと差し出した。
「2人は友達、だから…!
お揃い…で、買ってみた…っ!」
どうやら要も同じ物を買ったらしく遠慮がちに微笑む彼の手を雪人は優しく包んだ。
「嬉しい、ありがとう。
雪うさぎ…?ふわふわ…!
ミルク(愛猫)みたいに白くてすごい可愛い!
ありがとう、要くん!」
「僕もいいの?ありがとう!
可愛いねー!
写真撮ろうよ!
あ!待って!見てー!
うさぎとかめ揃った!(笑)
要くんはどこ行ってきたのー?」
紅葉の指摘にぬいぐるみを並べて笑う3人。
「ほんとだ…うさぎとかめ…!(笑)
…えっと、長野に。
ゆーじくんにお誕生日何したいか聞いたらスノボしたいって言うから…!
スノボして、帰りに温泉入ってきた。」
「わぁ!いいなぁ!楽しそう!
温泉行きたいー!」
「スノボかぁ!
あ、写真?見てもいい?
わぁー、ゲレンデだぁ!
えー!夜はこんなに綺麗なんだね!
僕ね…、雪のついた名前だけど行けないから憧れる…。
…要くんは滑れるの?」
雪人はちょっと切なそうに、でも明るく伝えた。
「…ユキくんはふわふわの雪のイメージ…!
僕、スノボはちょっとだけ…。
スキーは授業でもやったよ…!」
「すごいね。僕もやりたいー!
そっかー!
だからバイトたくさん頑張ったんだね!」
「あ…うん。
でも結局ゆーじくんがほとんど出してくれて、僕はスノボのお金と晩ごはん分しか出してないけど…!
あと、お花…あげた…!」
「十分だよ!
ゆーじくん喜んだだろうなぁ!」
「楽しかった?
一緒に暮らしてても恋人と旅行はいいよね。」
紅葉と雪人の声に頷きながら微笑む要。
それから、少し迷いながらも2人に伝えることにしたようだ。
「…うん…、楽しかった!
あの…、それで…ね!
やっと…出来た…よ!
ゆーじくんと。」
「!
そっかぁ!
大丈夫?だった?」
トラウマがあると聞いていたので、少し心配する紅葉。
雪人も無理に話さなくてもいいよと続けた。
「うん。大丈夫…!
僕、友達いなくて…恋愛話もしたことなくて。
でも2人には話してみたい…!」
「嬉しい…!」
「ゆっくりでいいよ。」
「ありがと…。
えっと…緊張したけど…、
僕が思ってたのと違って…
あ!その…いい意味でだよ?
緊張と、やっぱり怖いのもあったけど、でもゆーじくんがすごく優しくて…!
何回も大丈夫?って聞いてくれたし、ゆーじくんも緊張してるって伝わったよ。
だから全然大丈夫だった。」
「…そっか。
良かったねー!」
「ゆーじくん一緒に住んでても全然手出して来なくて…。それは僕の過去…騙されて、乱暴されたの、を…知って、…!」
「…ストップっ!…言わなくていいよ。」
雪人が慌てて止める。
要の告白に驚いて固まるが、ゆっくりと近付いて抱き締めた。
紅葉も寄り添い泣きながらも要の涙を拭う。
「大丈夫…!
あのね…ゆーじくん、出会った時からずっと優しくてね。居酒屋バイトで酔っ払いに絡まれてたら助けてくれて、きっと僕じゃなくても助けたんだと思うけど…。でも僕怖くなって…フラッシュバックしそうなところ止めてくれたんだ。
お礼言いに行ったら、よく堪えてたねーって褒めてくれて。俺なら客殴ってクビだろうなってすごいきらきらした笑顔で…、それで好きになっちゃって…!
東京のミュージシャンって聞いて、どうせ望みないだろうしって思って…好きって伝えてみたんだ…。
まさかその後付き合うことになったり、ましてや同居すると思わなかったけど…!
優しくて、ずっと大事にしてくれて、でも逆に最近ちょっと不安になってきて…!
だから、
…すごく嬉しかった…!
なんか、いろいろ必死だったからあんまり覚えてないんだけど…
やっとホントの恋人になれた…って思いが一番で……、ごめん…もう胸がいっぱい…!」
今度は幸せで泣き出す要。
紅葉は思わずつられる。
「…!
ハグしていい?」
「…うん…、あの、もうしてるよ…?(笑)」
紅葉に笑顔を向ける要は自然体だった。
「そーだった!(笑)
良かったね…!
要くんは強いね!素敵!
ゆーじくんも強くて素敵!」
「ほんと…!
カッコいいよ、2人とも。
…あのね、葵からLINEきたよ…!
今みんなで飲んでるんだって。
"ゆーじがずっとやけてる、キモっ"て(笑)
…ごめんね、葵は口が悪い…(苦笑)」
「ううん。」
「はは…っ!
あ、凪くんからも…。
"ゆーじが会話は上の空だけど、ギターはスゲー調子良く弾けてる。"って(笑)」
「…!(笑)
…なんか逢いたくなってきちゃった…」
「ラブだねー!」
「ラブだね!
あ!ファイナル一緒に見に行こうね。」
紅葉の提案に雪人も要も頷いたのだった。
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