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【お泊まり会】(4)※微R18
翌日…
1030
「ただいまぁー!
平ちゃん!梅ちゃん!
うんっ、ただいまー。
…ふふ、イイコにしてた?
凪くんは?寝てるー?」
玄関まで出迎えに来てくれた愛犬たちは大喜びで紅葉を舐めたり、おかえりを伝えるように尻尾を振りながら紅葉を囲むように回っている。
凪は…靴があるので在宅しているようだが、昨夜は遅くまで飲んでいたようなのでまだ寝ているのかもしれない。
紅葉は起こさないようにと、愛犬たちと静かにリビングへ向かう。
「っ!
凪くん…?」
てっきり寝室で休んでいると思っていた凪がソファーに座ったまま眠っているようで驚き駆け寄る紅葉。
そっと肩を揺らす。
「凪くんっ?
……こんなとこで寝てたら風邪ひくよ?」
部屋は愛犬たちのために控えめに暖房が入っていて、床暖房もつけているが、薄着の凪はコートをかけただけで眠っていては寒いだろう。
「ん…?
紅葉?
…帰ったの?早いね?」
「うん。ただいま。
ユキくんパパが早めに出張から帰ってくるって言うから…僕たちいたら休めないかなって…。
凪くん…、もしかしてずっとここで、寝てたの?」
紅葉は心配そうに訊ねた。
「いや……、昨夜はちゃんと寝室で寝た。
でも、隣に紅葉がいないと変な感じでさ(苦笑)ちょっと寝たらなんか目ぇ覚めて…散歩行って、帰ってきて、二度寝…(笑)」
凪の説明にホッとして紅葉は笑顔を見せる。
「そっかー!
ビックリしたよー。
お散歩ありがと。」
「…ごめん(苦笑)
楽しかった?お泊まり会。
寝れた?」
「うん!とっても!
ちゃんと寝たよー!」
「…ん、良かった。
…おいで。」
「うん。」
向かい合うようにして紅葉を膝の上に乗せた凪は、紅葉の髪に指を通す。
そのまま手繰り寄せてそっと口付けると、ふふ…と幸せそうに笑う紅葉。
軟らかめの髪質は変わらないが、いつもと違う雪人宅のシャンプーの香りがした。
「凪くんも楽しかったー?」
「まぁまぁ。
まだ打ち上げじゃないから飲むには解放感足んないかなー(苦笑)」
そんな話をしながら何度かキスを繰り返していると、その先を期待したくなる…。
凪は時計を見て頭の中でスケジュールを確認した。
「紅葉…、する?」
「えー?…でも…っ!」
加減しながら一度くらいなら可能だろうと、凪が切り出すと紅葉は凪の腕の中で迷っている様子だ。
しかし突然ハッと何かを思い出したかのように勢いよく顔を上げた。
「っ!!」
「っ!」
2人共声にならない…
ゴツン…と鈍い音がしたのだ。
「も、みじっ!」
「ごめ…っ!」
顎を抑えながら「あー、今ので完全に目が覚めた…」と凪は呟き、紅葉はひたすら謝った。
「あ…!そーだ!
しないと!
練習っ!」
「あ…、練習…?(苦笑)」
やはり目的が違っていたようで、でも紅葉のキラキラした目を見ると凪は全てを察した。
「うんっ!
…僕ね…もっとちゃんと弾きたい。
もっと、…深く、響くように、届くように。」
自分とのキスで蕩けている紅葉の目も好きだが、真っ直ぐ音楽へ情熱を向けている目も好きなのだ。
凪は少し赤くなった紅葉の額に優しいキスを贈る。
「そっか…。
俺も…、ちょっと直したいとこあるんだ。
後で合わせられる?」
「もちろんいいよ!」
そこから5時間。
紅葉は自宅の練習部屋に籠りヴァイオリンを続けた。
しかも凪が打ち合わせから帰宅し、そこからベースを2時間…。
凄まじい集中力は体力の消耗も激しくて、いつもの倍は夕食を食べた紅葉。
ヴァイオリンにベースを引き続けてさすがに身体がガタガタで入浴後に寝室で凪にマッサージしてもらう。
「うまく、なりたい…。」
「なってるよ。大丈夫。」
紅葉のいううまくというのは技術的なことだけではなくて、伝えたい感情を意のままに音にのせたいということだ。
後半のヴァイオリン練習を聴いていた凪はその音の気迫に鳥肌が止まらない程だったのだが、紅葉的にはまだまだ足りないらしい…。
「1回、落ち着きな?
ん…? あ、ごめん。鞄から落ちた。
…何これ?」
ベッド横にあった紅葉のリュックから落ちた物を拾う凪。
「あ…!
お土産…!貰ったんだよ。
こっちがユキくんから。
こっちは要くんから。
可愛いでしょー?」
「…うさぎとカメ?(笑)」
「そうなの。偶然ね…!ふふ…っ!
あ、うん。そっか…。
…なるほど。」
ぬいぐるみを手に2人を想って笑ったら何か納得したらしく表情が和らぐ紅葉。
凪はやはり紅葉の笑顔が好きだなと横顔を見つめていた。
「あ!凪くんも疲れてるよね?
マッサージ代わるよ!」
「……そう?じゃあ宜しく。」
凪はマッサージというよりスキンシップメインの目的で紅葉に身を委ねた。
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