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【ご褒美】(1) ※R18
深夜…
仕事を終えた凪が寝室を覗くと、眠っている紅葉の姿があった。
LIT Jのレコーディングが順調に終わり、今日こそは起きている時間に顔を合わせられるかと急いで帰宅したが一足遅かったかようだ。
「んー…?…っ
な、ぎ…?」
布団を掛けようとしたところで目を覚ました紅葉。
一度寝入ると朝まで目を覚まさないタイプの紅葉にしては珍しいと思いつつ、凪はベッドに座った。
「…ごめん、起こした?」
「ううん…。
起きてるつもりで待ってて、寝ちゃってた…!
お帰りなさい…っ!」
確かに寝室の電気はつけっぱなしだったし、ベッドの上には漫画もいくつか置いてある。
紅葉もモデルの仕事や化粧品メーカーのCM撮影、更にはこども向け音楽イベントの仕事が立て込んでいたので、疲れているはずだ。
待っていてくれようとしたことが嬉しくて、凪は紅葉を抱き寄せて口付けた。
「…ただいま。」
「…ん…っ」
ようやく一段落ついたが、ここ半月程はお互い本当に忙しかった。
紅葉はレコーディングの合間に差し入れを持ってきてくれたり、凪も紅葉の仕事の送迎をしたり、一緒に愛犬たちの散歩へ行ったり…なんとか2人で過ごす時間を作ってきた。
こんな甘いキスを交わすのも久しぶりで…
髪を撫で、顔を包みながらキスを繰り返す。
紅葉も凪の腰や腕をぎゅっと握りながらキスに応える。
「…ふ、ん…っ
凪…!
あ…、ん。……するの?」
「…ん、…いい?」
「……!
いいよ?
ふふ…っ」
「何?ご機嫌じゃん?」
「最近、なかなかお休み合わなかったから…!…ちょっと期待して待ってた。(笑)」
「…ふ…っ!それは…それは…!(苦笑)
んー、ちょっと…ヤバいな(笑)
よし…っ、じゃあ早く脱いで?」
「わっ!
待って…、凪っ! 電気…っ!」
「そこは…"Alexa、照明を常夜灯に"だろ?」
「そーだった!(笑)」
照れ隠しもあって笑い合いながら衣服に手をかけていく。
「ちょっと冷たいかも…。我慢して。」
「んっ、ァッ!んー…っ!」
さっきまでのゆとりもなく、駆け出したら止まれなくなり、焦るように先を急ぐ2人…。
「…、キツ…っ!
大丈夫そう?」
「うん。ゆっ…くりなら…!
んんッ!
や…っ!んぁっ!
なぎ…!」
「ここでしょ?気持ちいい?
指増やすよ?」
「ンッ!ぁ…っ、
あ…凪…!んっ、ア…ダメっ!
いく、いく…っ!」
あっという間に果てる紅葉。
息が整う前に凪はゴムを手にしていた。
「……あ、もうちょっと待って…っ?」
「悪いけど、俺も余裕ない。」
「っ!」
情熱的に自分を求めてくれている凪にトキメキながらも久々の行為を目前に少し緊張もあって身体が強張る紅葉。
凪は僅かにリズムがズレるようなその小さな変化を見逃さなかった。
「…ゆっくりするから。
そーいえば紅葉、撮影のために食事制限したり、筋トレもしてたじゃん?」
「え? うん。」
「なんか身体のライン色っぽくなってんだけど。」
「そ、そうっ?!そんなに…?」
凪ほどキツイ筋トレはしていないので、微々たる変化だと思うが、努力を見てくれていた凪は気付いてくれたのかと嬉しくなる紅葉。
凪は紅葉の腰回りからヒップライン、太ももにかけて手を滑らせた。元より凪のお気に入りポイントだ。
「んー。この辺とか…。
久々で…こんなの見せられたら堪んない…。
……とりあえず一回抱かせろって言いたくなる(笑)」
「もうっ!褒められたと思ったら…(苦笑)
凪ー、悪い人みたいになってるよ!(笑)」
冗談で再び笑い合った2人。
紅葉の緊張も解けたようだ。
そして言葉とは裏腹に凪のリードで進む行為は優しくて丁寧だった。
「ん…。は…あ…っ!」
繋いだ手から伝わる温もりは優しくて、熱いキスと蕩けるような愛撫は不思議なくらい幸せを感じた。
「凪…!」
「ん?
キツくない? 大丈夫?」
「うん…。気持ちい…!
ね、…大好き…!」
「紅葉…!
ホント…可愛いやつ。」
「好き…?」
「好きに決まってる。」
久々の甘い夜、1度で終われるわけがなくて…
「…なぁ……レコーディング頑張ったからご褒美いい?」
再び身体を繋げながら、凪がご褒美の騎乗位をねだると焦りだす紅葉。
「え?…っ!ダメダメ…っ!
ツアーファイナルだけって約束…!」
「えー?(苦笑)
じゃあこれなら?
支えてたら出来そう?」
対面座位に体位を変えられ、紅葉は慌てて凪の首に腕を回した。
「…っ!アッ!
ん…だって…、う、…動くの難しいし…っ!
それに恥ずかしい…!」
「ん、そっかー…、残念。」
顔を寄せる情事中の凪はホントに色気満載でカッコ良くて、そんな風にお願いされたら紅葉は堪らないのだ。
あとさっきから全然動いてくれる気配がなくて、でも器用な彼の指先や手の平、唇が辿る場所が甘く疼いてもどかしさが我慢出来なくなってきていた。
「っ!
凪…?
僕の…、ご褒美も忘れないでね?」
「ん?お出かけデート?
分かってるよ。
…何?紅葉、してくれるの?」
随分可愛いご褒美内容だが、最近の普段の休みは買い物や愛犬たちと過ごすことが多くてなかなか2人でデートする機会がないのだ。
「ん…っ、特別…だよ?
あと、ホントにちょっとだからね?
…ぁ…っ!んー、んっ!は…っ
こう?
気持ちいい?凪…!」
「かわい…。最高…」
「は、んっ、や…っ!
耳食べないでっ!」
紅葉は悪戯する凪の手をとり、指を絡めて繋ぐ。こうしてたら頑張れる気がするのだ。
「(笑)ごめんって。
続けて?
ん、そう…、もうちょい深く…
…あー、いいね。上手。」
「は、ぁん…っ、ふ…、んん…ッ」
上機嫌な凪と甘い夜を過ごし、2人でぐっすりと眠りについたのだった。
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