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【ご褒美】(2)

翌日… 「凪ー? ご飯出来たよー。 起きれる?」 タンタン…と、 軽やかに階段を上がり、寝室を覗く紅葉。 「あ…? …んー、何時…?」 「もうすぐ11時半だよ。 11時に声かけたんだけど、起きなかったから…。大丈夫?まだ寝る?」 2つのバンドを掛け持つ凪は多忙だ。 仕事だけでなくドラムの自主練や身体作りのためのジム通いなども欠かすことはない。 連日深夜に及ぶレコーディングにさすがに疲れがでたのだろう。熟睡していた。 久々の休日、本当はまだ寝かせてあげたいが、起こすように言われていた紅葉は心配そうに凪を気遣う。 「…寝過ぎた…。起きる。」 「疲れてるんだよー。 おはよう。」 「ん。…はよ。」 挨拶のキスを交わすとリビングへ向かう2人。愛犬のゴールデンレトリーバーの平九郎とラブラドールレトリーバーの梅は2人の周りを嬉しそうに尻尾を振りながら歩いている。 「ご馳走様。 紅葉、旨かったよ。」 おにぎりと卵焼き、チキン入りの野菜たっぷりサラダにお味噌汁、デザートに果物。 紅葉が用意してくれたブランチを食べ終えると凪も目を覚まし復活してきたようだ。 「ふふ。どういたしまして。 あ、珈琲淹れるね! 座ってて!」 「…ありがと。 紅葉…あのさ、この後出掛けられる? 身体は?…平気?」 昨夜の影響がないか、凪が心配してくれるが紅葉は笑顔を見せて答えた。 「んー? 大丈夫だよー。元気っ! お買い物?」 「それもいいけど…、動けそうならご褒美デートしない?」 「っ!! 喜んでー! わぁー!どこ行くー? え…、待って!何着て行こう?」 デートと聞いただけで紅葉は飛び上がるぐらい喜んでいる。あまりのはしゃぎっぷりに愛犬たちも何事かと寄ってきた。 「ふ…っ!(笑) とりあえず靴は歩きやすいのにして? あとは秘密。 ちょっと寝過ごして思ってたより遅くなったけど…、みなに平九郎たち預かってもらえるように言ってあるから…今日はゆっくり出掛けよう。」 「そうなの? えー!楽しみだなぁ! とりあえず僕、先に支度してくるね!」 「おー。よし、お前たちとは明日たっぷり遊んでやるからな。今日はお姫様(みなと光輝の娘)とボール遊びしておいで。」 凪は2匹に言い聞かせると頭を撫で、支度を始めた。 行きの車内では紅葉が行き先を当てようと凪に質問を投げ掛けていた。 「アクティビティ系?」 「まぁ…どちらかと言えばそうかな。 デートの王道的な。」 「えー?何処だろうっ! とりあえず写真いっぱい撮って…! あ!SNSあげてもいい?」 「んー、後日ならいーよ。 せっかくのデートなのに騒がれたり、声掛けられたくないでしょ? そーだ紅葉、帽子と眼鏡持ってきた?」 「確かにそうだね…。 あ、あるよ! あんまりはしゃぎ過ぎないように気をつけるね!」 そして…2人が着いた先は… 「わーいっ!」 悩んだ末に凪が選んだのは某夢の国だった。 紅葉がいつか凪と行ってみたいと言っていたのだが、正直、人混みや列に並ぶことが苦手な凪は実際にここへ来るまではそんなに気乗りじゃなかった。 でも「きゃー!夢みたーい!」と、テンションも高くとても嬉しそうな紅葉の笑顔を見れば悪い気はしなかった。(入口どころか駐車場から既にはしゃぎまくっている) 「わー…っ! どこから回ろう? あ、待って! ポップコーン買いたい!買っていい?」 「…どーぞ(笑) 紅葉ー?迷子になるよ?(苦笑)」 「っ! 手、繋いでいい?」 「当たり前だろ。 デートだからな。」 人目を気にせず手を繋ぎ、2人は歩きだした。

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