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 2度目は、引っ越したばかりだというあいつのアパートだった。  2階建ての、こざっぱりした外観のアパートで、同じ1LDKだったけれど、2階の角部屋で、僕のところより気持ち広いようだった。ベッドと壁にならんだいくつかのギター、年季の入ったコンピューター以外はまだ部屋のふちに積んであるダンボールの中のようで、なんだか雑然としていた。  二人とも前のように酒を飲んでるわけじゃなく、はじめからそのつもりだった。恥じらいや後ろめたさのようなものも、あったにはあったけれど、はっきりは意識しなかった。不思議なのだけれど、僕らのどちらも”立たないかもしれない”という心配は全くしなかった。 「俺もちょっとは勉強したし……」  悪びれず言うあいつが、やっぱりちょっとかわいい気がした。  僕らはぱっぱと服を脱ぎ捨て、お互いのものを握りあった。自分以外の男の大きな手で握られ、強くしごかれる感触は新鮮だった。 「スゲー、気持ちいい」  あいつが潤んだ眼でうっとり言う。そのあいつの顔が、喘ぐ声が、僕の”気持ち良さ”をさらに加速させた。  そうして僕らは、互いのアパートを、今じゃ週に2度、3度と行き来していた。  もちろん、いつもセックスするってわけじゃなかった。ただ飯を食ったり、ゲームしたり、DVD観たり、時には夜通し話し込む、なんてこともあった。  ただ、セックスの内容は、それなりに濃いものになっていった。 「入れようぜ――」  とあいつが言い出したときは、それなりに想定していたとはいえ、さすがに、おお、やろう!とは二つ返事では賛成できず、のらりくらりとかわしていた。  その日も、あいつのアパートで飯を食い、まったりしているところで、 「とりあえず、やってみないか?」  とあいつが言い出した。僕が躊躇していると、 「だから、幸裕は入れる方でいいからさ。準備は、俺が全部するし――」  あの黒目がちの目をキラキラさせて言っている。だけど、 「正直さ、なんでそこまでして、その……”入れる”のにこだわるのか、俺には全然わかんね」  今のままでも、十分、気持ちいいと思うし、お互いの体に負担もない。あいつは、少し考えてから、 「エロの追求?」  と大真面目で答えていた。  確かに、エロいことには貪欲なんだろう。そうでなければ、彼女持ちで、ほぼ週2~3のペースで男とまでセックスなんかしないだろうし。  結局、あいつの熱意?に押し切られるように、その夜、それまがいのセックスに及んだけれど、知識だけでは乗り切れないことがあるんだ、ということを学ぶにとどまった。  ただ、あいつが、僕を受け入れようと体を開く姿は、思いのほかエロく、以来、僕もちょっと態度を変えた。

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