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⑧
何度目かの挑戦で、やっと、
「全部……入った」
僕は汗だくで、やはり同じように汗だくのあいつに言った。あいつは、痛みに顔をゆがめながら、コク、コクとうなづき、
「キス……」
と僕に腕を差し出してきた。
が、キスしようと体を動かした瞬間、あいつは、ひっ!と小さく叫び、「動くな~」と弱々しく喘いだ。僕は、ごめん、とつぶやくと、慎重に体を動かして軽くあいつにキスをし、額の汗を拭ってやった。
入れている自分も、これまでにない締め付け感に、ある程度の刺激は受けるものの、正直、気持ち良いのかどうか、よくわからなかった。ただ、局所を開き、僕の腕の下で、ふー、ふーと小さく喘ぎ、キスをねだるあいつが、無性に愛おしい気がした。
「動く?」
しばらくして聞くと、あいつはまた、コク、コクとうなづいた。ソロソロと体を引くと、あ――!とあいつは悲鳴をあげ、僕の手を取った。
「やめる?」
と聞くと、あいつは、いやいやをするように激しく首を振った。食いしばった歯の隙間で、いいから、とつぶやいている。
あいつの様子を伺い、ローションも足しながら、ゆっくり動かしていった。ときどき、ひっ!とひきつった小さな悲鳴を上げていたあいつだったけれど、出し入れが、スムーズになるにつれ、あっ、あっと声が艶やかになっていった。それにつれ、僕も擦れるような痛みがなくなり、吸い付くような感触に、腰が自然と動いた。動きはどんどん加速し、あいつの肌に激しく打ち付け、あいつは悲鳴とも喘ぎともつかない嬌声を上げだしていた。
そして、不意に頭の奥に閃光のようなものが見えた、と思った途端、体を、ビンっと何かが貫くように走り、同時に僕は達していた。が、達しているのに、体中が震え、射精が止まらない。見ると、あいつのものもひくひくしながら、何度も射精している。
「圭太……」
「……幸裕」
見るとあいつは、嗚咽をもらして泣いていた。僕自身、泣いていることに気がつく。まだ震えの残る互いの体を、僕らはぎゅっと抱きしめ合った。
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