9 / 19

 ただ、僕らは、これらの”行為自体”については、一度も深く話し合ったことはなかった。  “何度目だ?”    今夜も、互いの体中に、僕の、あいつのキスの後がある。今更、キスの数云々を言いたいわけじゃない。  ただ、いつからだろう、あんなキスをするようになったのは。  セックスの後、互いをかきいだき、指をからませ、静かに唇を重ねる。ちょっと泣きたいような胸の奥のうずきと共に。 「おやすみ。」  不意に背中越し、向こうから、あいつがささやいた。我に返った僕は、寝たふりをきめこむつもりだったのに、「うん」とうっかり返事をしていた。

ともだちにシェアしよう!