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第7話 登校

硝子はいつにも増して今にも倒れそうな身体をどうにか支えながら足を引きずるように歩いていた。 学校までの道程がいつにも増して酷く遠く感じた。 全身が痛い。 ただひたすら疲労困憊に翻弄され、 何も考えることが出来なかった。 昨日保健室で、伊積恭介と名乗る生徒に、 犯された。 夢のような出来事だったが身体の痛みが現実だと証明している。 彼の魂胆も、何故自分なのかも分かるわけがないし 今は考えられる余裕はなかった。 ただ、多分報いなのだろうと漠然と思っていて それは仕方ないことだと受け入れるのは容易い。 だから悲しくもないし、 絶望する程追い込まれてもいなかった。 ただもう少しこの痛みが薄くなればな、と思う程度で。 ようやく正門に辿り着き、ふう、と息を吐いた。 教室まであと少し。 硝子は気合いを入れ直して再び歩き出した。 「..あいつ相変わらずとろとろ歩いてんな」 「な。見ててイライラするわ」 くすくすと笑う声が後ろから聞こえる。 生徒たちはあっという間に硝子を追い越し、 チラチラとこちらを振り返っては笑っていた。 気温はそんなに高くはないのだが、 痛みに耐え続けているせいか汗が額を伝う。 それを拭いながら正面玄関から校舎内に入り、靴箱に辿り着いた。 「はぁ...」 呼吸を整えながら、自分の名前が刻まれた靴箱の戸を開ける。 硝子は戸を開けたままの状態で暫くただ息を吸って吐いてを繰り返していた。

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