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第15話 保健室

廊下も人で溢れかえっていて、 ざあざあとした雨の音と話し声で頭が割れそうだった。 昼休みが始まり、それは硝子がどうしていいかわからない時間なのだけれど 今日は幸い行くところは決まっていた。 壁を伝いながら目的地へと向かって行く。 走り去る生徒に吹き飛ばされそうになりながら階段を降り、 壁にもたれて話す生徒には怪訝な顔をされながらも 永遠とも思われるような長い時間感覚の中、 ようやく校舎の端の保健室に辿り着いた。 はぁはぁと弾む呼吸を繰り返しながらも、 保健室のドアをゆっくりと開けた。 室内は珍しく照明がついていて、 中央の椅子には白衣姿の女性の姿があった。 彼女は茶色く染めた髪の毛先を指先に巻きつけながら、携帯端末を耳に押し当てていた。 こちらをちらりと見ると嫌そうに眉根を寄せ、 ちょっとまってね、と言って端末を顔から話した。 「雛瀬くんまたなの?」 「..すみません、頭が痛くて..」 「ああそう。それは大変ね。もう帰ったら?」 「......。」 保険医の女は窓の外を顎でさした。 ざあざあぶりの雨が世界を包んでいて、硝子は苦笑した。 「少しねれば、治ると思います...」 「あっそう。じゃあ勝手にどーぞ」 女はあからさまに不機嫌な態度で椅子から立ち上がった。 「ごめーん。なんでもないの。 そうそうそれでねさっきの話なんだけど.....」 保険医は再び携帯端末を耳に押し当てながら保健室を出て行ってしまった。

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