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第17話 声

「本当だ、顔色悪いですね....貧血ですか?」 急に視界が明るくなり、硝子はびっくりして思わず身体を揺らしてしまった。 そんな僅かな動作でも気を悪くしただろうかとおずおずと彼を見上げると 恭介は何故だか真剣な顔をしていた。 「思ったんですけど、雛瀬先輩痩せすぎっていうか... ちゃんと食ってます?」 ひやりと、全身から血の引くような感覚を覚えた。 そうこうしている間に恭介に腕を掴まれてしまい、硝子は思わず渾身の力で抵抗しベッドから立ち上がった。 恭介は驚いたように目を見張り、 硝子はしまったと思いながらも後に引けずずるずるとドアへと後退りしていく。 「....、先輩?」 「...すみません....、あの俺...大丈夫です..から」 それだけを呟くと、硝子は保健室から飛び出した。 「ちょ....っ、雛瀬先輩!?」 恭介の声が聞こえたが 振り返ることも出来ず、ひたすら走り続けて 自分でもこんな力があったのかというほどであったが、 教室まで急いで戻ると机に突っ伏した。 「...はぁー...っ、はぁ....」 教室の喧騒より雨の音より 呼吸の音と心臓の脈打つ音が大きく煩い。 それよりも、脳に響くのは...。 硝子は必死に、恭介の声を消そうとした。

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