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第18話 帰宅
雨粒に肩を濡らされながら硝子は家に帰り着いた。
結局あの後は机から一歩も動くことなく1日過ごしてしまった。
上履きも脱ぎっぱなしで逃げたから結局そのまま過ごさなければならなくなったし
恭介が教室に来ないかとビクビクしたが、
彼の姿を見ることはなかった。
傘の雫を玄関先で落として、
ふう、と息を吐いてからドアノブに触れた。
硝子の家は住宅街の中にある、庭付き二階建ての一軒家であった。
この住宅街自体そこそこ裕福な家庭が多いのだが、
その中でも硝子の家は比較的大きな方だ。
音を立てないようにドアノブを回し、薄暗い玄関を覗き込んだ。
テレビの音が僅かに聞こえてくる。
硝子は両親と、兄と妹の五人家族だった。
兄は3つ上で大学生。妹は4つ下で中学生である。
父は医者母は会社勤めであるのだが、
二人とも仲も良く兄妹も年が離れている分大きな喧嘩をする事もない。
両親は兄妹をとても可愛がっていて、
どこにでもあるような仲の良い家庭。
ただ、硝子を除いて。
硝子は家の中に入ると靴と傘を鞄から取り出したビニール袋に突っ込んで足音を立てないように廊下を進んだ。
途中リビングから兄と母の笑い声が聞こえてくる。
硝子は息を殺してそのまま通りすぎ、廊下の突き当たりの階段を一段ずつ気を使って登っていく。
途中まで進んだところで、後ろでドアの開く音が聞こえ恐々と振り返った。
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