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第23話 朝と雨

早朝、夜明けにほぼ近い時刻に目を覚まし 薄明るくなった部屋で課題を終わらせ、 スクランブルエッグやらウインナーやらを食べる家族たちの横で 生の食パン一枚の朝ご飯を詰め込み家を出るのが硝子の朝の始まりだった。 のろのろと学校までの距離約2キロを歩いて登校し、 いつも通りに教室の一番隅の席に座ってじっとしている。 それが終わればまた帰って、の繰り返し。 教室では誰もおはようだのさよならだのと声はかけてこない。 自分からかけることもないしかけられても驚いて返事が遅れてしまうから。 クラスメイトの顔も名前も把握はしているものの、 仲が良いと呼べる者は誰1人としていなかった。 それが不幸だと社交的な兄妹は笑ったりするが、硝子はそうは思わなかったし 不幸だとしてもどうという事もなかった。 授業が始まりノートを取り、 途中で止めて窓の外の灰色を見つめた。 雨が降るだろうか。 傘、今日持ってきてないけど大丈夫かなぁ。 濡れて帰ったりした日には大目玉を食らうだろう。 そんなことを思いながら、美しく並んだ文字は誰とも比べられようもなく 中途半端なところで打ち切られ、 いつも通りの生活に押し流されていくだけだった。

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