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第24話 昼休み

昼休み、硝子は校舎の裏手にある 掃除用具が詰め込まれた小屋を背にぼんやりと空を眺めていた。 教室では生徒たちがランチタイムをしているため留まることが出来ないし、他の場所もそうだ。 いつも保健室か、体調がいい時はここにきていた。 他に来る人は滅多にいないし、静かで落ち着くのだ。 雨が降っていなくてよかった。 硝子はそんなことを思いながら灰色の空を見つめていた。 本当は上履きを探しに行きたいのだけれど 保健室に行くとまた恭介に会いそうでなんだか行き辛いし もういっそない方が身の丈に合っている気もした。 どうでもいいや、そんな気分で硝子はひたすらぼうっとすることにした。 最近頭が上手く回らないしぼうっとしていることが多い。 でもぼうっとしていれば、 何も考えなくて済むから楽なのだけれど。 小難しい事を考えるのは嫌いではないが、 考えなくてもいい事もあったりするものだから。 「いた!!!」 「っ!?」 不意に大声が響き渡り硝子はビクッと体を強張らせた。 声のした方を見ると校舎の影から1人の生徒が現れた。 一体こんなところに何の用なのか。 硝子は思わず膝を抱えたまま小屋に体を寄せて固まってしまったが生徒は迷わずこちらへと歩いてくる。 「雛瀬先輩!やっと見つけた!」 そう声をかけられ、硝子はおずおずと上を見上げた。 こんな風に自分に声をかけるのは1人しかいない。 「..いず...み、くん...」 「え?」 恭介は硝子の前にしゃがみ顔を近付けてくる。 硝子は思わず俯き出来るだけ体を縮こめるのだった。

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