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第28話 なにか
硝子はどうしたらいいか焦りながらも彼の服を掴んで、ぎゅっと握りしめた。
「..あ、あの...ありがとうございました...俺なんかのために...」
「雛瀬先輩の為ならお安いご用ですよー
明日も作ってきますね
嫌いなものとかあれば言ってください」
恭介はそう言ってぎゅっと弁当箱を包んでしまった。
明日も?
自分はなんの見返りも用意できないのに
お弁当を作ってもらうだなんてとんでもないのだ。
硝子は焦って彼に顔を近付けた。
「そういうわけには、いかないです...!」
「いや..って顔近...待って鼻血でそう...」
「俺何も、お返しできないし」
「..俺が作りたいだけだからお返しとか要らないですよ
それに俺は先輩に償いきれない罪があるし…
こんなものじゃ全然足りないくらいで」
「そんな、俺...大丈夫、です…」
どこ悲しい顔をする恭介に、どうにかして辞めさせなければ申し訳なさで死んでしまう。
しかし彼は優しく頭を撫でて微笑んだ。
「だって先輩、食べないと倒れちゃいますよ。
先輩がお昼持ってこないなら、嫌がっても作ってくるので」
「う...なんで...」
「雛瀬先輩のために何かしたいんです。
させてもらえませんか?」
彼の言葉に硝子はじっとその目を見つめた。
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