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第40話 贖罪

硝子は、恭介の真っ直ぐな瞳に自分はどう映っているのがわかるのが怖くて目を細めた。 「..また無茶しちゃった、ごめんなさい」 恭介は硝子の頬を撫でながら謝ってくる。 未だ呼吸がままならず硝子はとりあえず首を横に振った。 彼が謝る必要はないと思ったから。 「怒らない?」 「.....怒る、理由..ない..よ」 硝子の言葉に恭介はホッとしたような、 どこか呆れたような表情をした。 「駄目だよ先輩、もっと警戒しないと」 そう言って恭介は身体を起こし、硝子もふらふらと立ち上がろうとしたが足に力が入らず断念した。 恭介はトイレットペーパーで硝子の身体を拭き始め、 それが恥ずかしくてそわそわしてしまう。 「雛瀬先輩は俺のことどう思ってるんでしょうね」 「...うん..?」 「嫌われないようにしようって思うのに、 先輩前にするとバカみたいに余裕なくなって... 本当...かっこわりい...」 恭介は落ち込んでいるようにため息を零した。 格好悪いのは自分の方なのに。 「...いずみくんは..かっこ悪くなんてないよ...」 ぼそぼそと言いながら、 彼がまた泣いてしまうのは嫌だったから彼の頭を撫でた。 「雛瀬先輩....」 顔を上げた彼の瞳は潤んでいて、 逆効果だったかと慌てて手を離す。 「先輩はなんでも許してくれるから..ダメだなぁ俺」 恭介はへらりと微笑み、またいつも通りの彼が戻ってきたようで そんな顔を見ていると、自分でもいくらか誰かを幸せにしたりできているのだろうかなんて履き違えそうになってしまう。 「眼鏡なくても先輩は綺麗ですね」 「へ...?..あ、眼鏡...」 硝子はようやく眼鏡の存在を思い出し、 自分の顔に触れた。 「どこやったっけ....」

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