48 / 151
第47話 新聞部
やがて茶々は急ブレーキをかけ、
硝子はふらふらになってぜえぜえいいながら壁に手をついた。
「ここ、部室」
茶々はそう言って上を指差した。
つられて上を見ると図書室と書かれたプレートが見えた。
彼はドアを開け、我が物顔で入っていく。
閉められてしまう前に硝子も続いた。
硝子は校舎内を歩き回ったりしないので、
図書室になど数えるほどしか来たことがないが
この学校の図書室はかなり広々としている。
しかし人は少なく、静まり返っていた。
「おーい」
きょろきょろしているといつの間に離れたのか、
茶々が本棚の間から呼んでくる。
慌てて彼の元へと歩いていくと、茶々はまたスタスタと早歩きをした。
本棚の向こう側の壁は一面窓になっていて、そこには自習用の机が並んでいた。
茶々はその一番端の机に行くと、勝手に引き出しを開け中から紙の束を取り出し机に広げた。
「ウチ、新聞部やってるんだけど。」
「新聞部...?」
硝子はようやく彼に追いつき、呼吸を整えながら机の上に目を落とした。
白い紙に写真が貼り付けてあった。
「そ。で、まぁウチは写真が撮れるし記事は書けるスーパーマスメディアマイスターな訳なんだけど..
そのぉ...文字が下手でさ...でも新聞の大部分を決めてしまうのは文字..
まず文字が綺麗でなければ読んでもらえない...かと言ってパソコンや文明の利器は貸してもらえな...面白くない..面白くない!」
茶々は机の周りをウロウロしながら探偵のように説明し、
やがて立ち止まり硝子を指差した。
「そこで、だ!雛瀬、いやひなっちゃん!キミの力必要だ!」
「ひ..ひなっちゃん...?」
茶々はバシッと決めポーズを取ったが、硝子は意味がわからず戸惑った。
彼はつかつかとまたこちらに戻って来て、硝子の手を取った。
ともだちにシェアしよう!