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第48話 頼まれごと

「文字を書いてくれ!この新聞の!文字を!」 「ええ..そ、そんな無理ですよ俺なんか...」 「頼む!」 茶々は勢いよく頭を下げてくる。 こんな風に誰かに頼まれごとをされたのは初めてだった。 未だ掴まれた手に力を込められ、本当に困っていることがわかる。 しかし自分なんかが役に立つわけがないのに。 「てめえ...!勝手に、雛瀬先輩に触るんじゃねえ!」 勢いよく茶々の手から引き剥がされ、 間に割って入って来たのは恭介であった。 探し回ったのかどことなく息が切れているようだ。 「わぁイケメン!今週のイケメン特集に載せても?」 茶々は全く臆することなく首から下げたカメラを構えた。 ふざけんな、と恭介は威嚇している。 「こんなのと関わることないですよ雛瀬先輩」 「なっ失礼だな一応先輩なんですけど!」 「うるせえチビ!」 「わぉ悪口の才覚が底辺だぁ」 恭介の威嚇は女子生徒がすくみ上るほどなのだが 茶々はのらりくらりと交わし、 いつの間にかまた硝子の腕をとってニコッと微笑んだ。 「考えといて、返事は明日もらうからさ」 「な、なんの返事だよ!?」 茶々はさっさと机の上を片付けてしまうと、 恭介に噛みつかれる前にガラガラと窓を開け ぴょこんと向こう側へと飛び出してしまった。 「話は以上!ごきげんよう〜」 歌うように言うとピシャリと窓を閉め茶々は去って行ってしまった。

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