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第50話 手伝い
「おはよう!ひなっちゃん!」
次の日硝子は初めて教室で挨拶をされてしまった。
茶々は朝っぱらから元気が良く教室に入ったばかりの硝子を捕まえ、
相変わらず眼鏡にかけられてるキャラだなぁ、と意味不明なことを言ってくる。
硝子は驚いてしまったが挨拶を返さねばと両手を握り締めた。
「あ..う、おは..おはよう」
「うんうん。で、昨日の件考えてくれた?」
その質問に硝子は焦ってしまって俯く。
昨日結局帰り着いた後走り回った疲労で何も考えられず、落ちるように寝てしまったのだ。
しかし断った方がいいだろう。
「え...えっと..」
「まじ?ありがとー助かるわ!」
「ええ...」
言い淀んでいる間に茶々はそう言って嬉しそうにし硝子の手を取っては、よろしくよろしく、と振り回して来た。
話を聞く気がまるでない茶々のパワーに押され
硝子は手伝うはめになってしまったのだった..。
そして放課後、いつもならさっさと帰る所だが
茶々に連れられ図書室へやって来てしまった。
相変わらず人がいない図書室はしーんとしていたが
茶々は気にすることなく机の上に紙を広げた。
6人がけの机の一番端に座らされた硝子は呆然と机の上を見つめる。
「これが原稿。
で、この枠の中にこれ、こっちはこれ...ってカンジ?」
茶々に指示を出され硝子は少し考えて頷いた。
しかしなんだかとても重要なことを任されてしまったようで今すぐ逃げ出したい気持ちにとらわれてしまう。
「一回シャーペンで下書きして上からなぞって貼るか、そうしよう」
茶々は一人でぶつぶつ言いながらせっせと動いている。
やがて紙と原稿をよこされ、硝子は仕方なく書いて見ることにした。
自分などの文字でいいのか、そしてこれがどう言う使われ方をするのか謎であったが
一生懸命な茶々を見ていると今更逃げるわけにもいかず。
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