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第57話 放課後習慣
「.....雛瀬先輩、俺のこと...嫌いですか?」
「え....?そん、なわけ...」
「じゃあさっきなんで隠したんです」
じろっと横目で彼を見ると、硝子は目を見開いて
やがて俯いてしまった。
しかしなんだか頬が赤くなっているように見える。
「..あ..えっと...
いずみくんに見られるの...なんか、恥ずかしくて」
ぼそぼそと再び小さな声で呟かれ、恭介は思わず口元を抑えた。
恥ずかしがって隠したというのか!
「.........鼻血出そう」
「いや出てるから!ぁああ新聞がァァ!」
恭介の心の傷は、癒えるどころか素晴らしき想い出として
刺青のように心に深く刻まれてしまったのであった...。
それからというもの、放課後は図書室に集まって新聞を作ることに勤しむ3人であった。
新聞の内容の大半は、生徒会のゴシップや
先生の秘密暴露などとても不毛でしょうもない内容が殆どで
新聞部が非公式な部活なのも頷けるほどだったが
それでも硝子は一生懸命文字を書いたし、そんな姿を恭介は一生懸命眺め
茶々はカメラ片手に出かけることが多かったのでその時間は二人きりで過ごせる素敵な放課後になるから
これはこれで悪くないな、と思う恭介であった。
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