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第59話 名前

「茶々君はここが誰もこないからって勝手に部室にしちゃったのよ 本当はダメなんだけど、面白いから。 ふふ、内緒ね」 彼は唇に人差し指を当てて首を傾けた。 硝子はこくこくと頷く。 そんな風に、誰もやらないことをやろうとする茶々は やっぱりすごい人なのだと改めて尊敬してしまう硝子であった。 「えーっとあなたは...雛瀬君?しょうこ...?」 「あ、あの.....ガラス...です...」 名札を読み上げられ硝子は恥ずかしくなりながらか細い声で答えた。 正しく読んでもらえないのは毎度のことであるのだが そもそも呼ばれる機会がないので、 申し訳ないような気持ちになってしまう。 初対面で、もしくは会わずして女か男かも、 なんと読むのかも相手を惑わせてしまうだなんて 自分で選んだことではないにしろ、 なんて自分は人に迷惑をかけてしまうのだろうと思ってしまう。 「へえー。ガラス君か!おしゃれな名前ね」 しかし青年はそう言って微笑んだ。 おしゃれ?

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