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第63話 お茶会
きっとこの美味しさは、
この人が自分のために作ってくれたからなのだろう。
「よかった」
恭介はそう言って微笑んで、自分もケーキを食べ始めた。
「んん?あの2人何がどうなってるの?」
「さー。だいたい環ちゃんが思いつくようなことになってる。
であってるんじゃないかな」
茶々と環はひそひそ話していて恭介に睨まれ2人とも背筋を正した。
「このケーキおいしいわね!こんな才能があったなんて」
「いずみんはなんでもできるね!イケメンでお菓子も作れるとか勝てないですわアハハ」
「硝子君、砂糖いる?」
「え..あ、ありがとうございます...」
わざとらしく話を逸らす2人に恭介ため息を零していた。
こんな美味しいケーキと談笑の中に自分が存在していられることが不思議だった。
笑いながら何かを食べたことがあっただろうか。
幸せな午後はゆっくりと流れ、
硝子は時々愛おしそうにこちらを眺めている恭介と目が合って
また、何故だかわからないけれど、不思議な気持ちになるのだった。
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