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第72話 おつかい

新聞部のホープ雛瀬硝子氏が風邪を召され、 当然のことながら伊積恭介も現れず、本日の新聞部はまた元の約1名に戻ってしまった。 そしてそんな時担任教師である秋野先生が怖々と声をかけてきた。 確か雛瀬とよく話してるよな?と。 カメラもケースにしまい、 茶々はいつもより早い時間に学校を後にした。 「南町の住宅街か〜セレブじゃーん」 茶々は渡されたメモを頼りにいつもとは違う通学路を通っていた。 秋野氏に代わりプリントやら先日のテストの答案用紙やらをお持ちするべく 茶々選手は、どーれみふぁそらしどーと歌いながら 雛瀬邸を目指す。 「謎の多いキャラひなっちゃんのお宅訪問もなかなか面白そうだしね」 となんでもおもしろい方へと捉えるポジティブな茶々であった。 やがて辿りついた雛瀬邸は確かに雛瀬と表札が出され間違いがないようだった。 比較的新しめの一軒家は庭付きで、 そこそこ裕福な家庭なのだろうと推察される。 しかしその家は硝子には結びつかず、 何故だか違和感が生まれ茶々は眉根を寄せ暫くその家を睨んでいた。 「まあでも雛瀬って苗字そうそういないだろうしね。突撃!」 自己完結して素早い手つきでチャイムを押した。 『はい?』 暫くして男性の声がスピーカーから聞こえてくる。 しかし硝子の声ではなさそうだ。 茶々はカメラに向かって愛想のいい笑顔を浮かべた。 「雛瀬くんのクラスメイトの赤川といいますが!」 『......は?』 スピーカーの向こうからは驚いたような声が聞こえてくる。 あれ、やっぱり違ったのか?と茶々は思わず口を閉じた。 『....ちょっと待ってて』 しかしスピーカーはそう告げ、がちゃんという音ともに通信は切れてしまった。 不可解さに茶々は腕を組んで顔を顰めた。

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