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第73話 お兄様

そうこうしているとドアが静かに開き、 茶々はすぐさま営業スマイルを浮かべる。 出てきたのは、青年だった。 スタイルも顔もとてもよく身なりが綺麗な青年は 確かにこの家に住んでいそうだ。 「あっども〜」 茶々がフレンドリーに挨拶をすると青年はドアを閉め つかつかと歩み寄ってきた。 「硝子のクラスメイト?」 「は。はいそうですケド...お兄様ですか?」 「硝子ならまだ帰ってないけど」 「ん?」 青年は質問には答えず辺りを伺いながらヒソヒソと話してくる。 その挙動不審さと証言にますます違和感を覚え、 茶々は彼をじっと観察してしまう。 「...お兄様イケメンですねえ」 「は?..まぁよく言われるけど..じゃなくて!」 茶々は関係ないことを言いながらも教師に持たされた封筒を口元に当てによによ笑いながら 青年を見上げた。 彼は早く帰れとでもいうような怪訝な目で見下ろしてくる。 「あぁ、すみません。これ硝子くんに渡しておいてください。」 「そんなの学校で渡せばいいだろ..なんで僕が」 「お兄さんでしょ、いいじゃないですか渡すくらい」 茶々はそう言いながら強引に彼に封筒を押し付けた。 青年は困りながらも封筒を受け取り、複雑そうな顔をしている。 うーんなんだかワケあり? 茶々はそう思いながらも、単純にこのイケメンの青年にも興味が湧いてきて最後に片手を彼に差し出した。 「改めまして赤川茶々です。以後お見知り置きを」 青年の困惑した表情を見つめながらも、茶々はカメラを構えたくてうずうずするのをぐっとこらえて微笑むのだった。

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