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第85話 製造元

「なになに?子犬飼いたいんすか?」 「え?あ…いや…」 「この写真結構美人に撮れてるっしょ」 茶々は店から出てくると、ポスターを指差してニコニコしている。 彼の首のカメラと結びつき、清一は改めてポスターを見た。 「これもしかして君が…?」 「いえす!ちゃんとここに書いてあるでしょー “作成・石動高校新聞部”って。」 茶々は自慢げにポスターの隅っこに記載された製造元を読み上げた。 「新聞部なのに子犬のポスターを作っているのか…」 謎の活動内容に苦笑していると、 少年は不思議そうに首を傾けた。 「…聞いてないんすか?」 「は?」 「いや…硝子くんも新聞部だし…。だから見てたのかと」 茶々の言葉に清一は目を見開く。 どうりで、いやそれ以前に硝子が部活に入っていたとは初耳だった。 茶々はどこか疑うような目で見上げてくる。 「清様…硝子くんと仲悪いんすか?」 「…そういうわけじゃないけど… あまり学校のことは話さないから…」 「ふーん…?」 その探偵のような目付きに思わずビクビクしてしまう自分がいた。 “常識”をつきつけられているようで、居心地が悪くなって清一はため息をこぼしながら彼に背を向けた。 「まあ僕らは嫌われてるだろうけどね。」 どうやら無駄に明るい性格のような彼と過ごす硝子はどんなものなのだろうと思う。 気にする必要はない..のだろうけど。 「じゃあ僕はこれで…」 彼の言葉を待たず清一は逃げるようにその場から去った。 硝子は何か話しただろうか、 そんな風に焦る自分に、少し腹が立った。 「……ら…?」

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