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第92話 ポスター

誰も何も反応しないまま数秒が過ぎ、 やがて痺れを切らした茶々が封筒をひらひらさせる。 「はい。これに2枚ずつ入ってっから」 「.....。」 「要らないの?いずみん。要らないの?“ナツマツリ”だよ?」 「..............。」 意味ありげにによによと笑う茶々に、恭介はガタッと勢いよく椅子から立ち上がり つかつかとそちらに近寄った。 「茶々..........てめえ.......神なの...?殴ってもいい....?」 「おぉへりくだりながらも通常運転だな!いずみん!」 2人はなんだかどんどん仲が良くなっているようだ。 そんな2人のやり取りは見ていてハラハラするものの楽しいような気もする。 恭介は結局封筒を奪うように受け取ると暫く机の端で何かぶつぶつと呟いて居た。 「環ちゃんにもあげるーあっきーのと行けばー」 茶々は次いで大声で奥のカウンターの中にいる環先生を呼んだ。 すると光の速さで彼はやってきて 茶々の頭にぺしと片手を置いた。 「なななな、なに言ってるの茶々君!からかわないでちょうだい!」 「あぁん親切でいってるのにぃ。 ちなみにあっきーののこの日の予定ガラ空きでしたよー?」 「バカ言わないで!大人をからかうんじゃありません!全く!」 環先生は腕を組んで顔を赤らめ頬を膨らませて怒っているようだった。 それを見て茶々はによによ笑っている。 「自分で行けばいいじゃない!」 「ウチはパパラッチ..じゃなかった撮影で夢中だから多分使う暇ないと思うんだよー でもせっかくもらったし勿体無いかなって。 あ。そだ環ちゃんこれ図書室にも貼ってー」 ペラペラ喋りながらも茶々はポスターを環先生に一枚渡した。 「あら素敵じゃない。どこに貼れば目立つかしらねえ」 彼はポスターをまじまじ眺めながら微笑んだ。 硝子は恥ずかしく感じながらも、 賑やかな会話を聞きながら冷やし中華を完食してしまうのだった。

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