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第93話 お誘い
「あの、雛瀬先輩...せっかくもらったんで...
一緒に、行きませんか?」
恭介に夏祭りに誘われてしまった硝子は
自分でもよくわからないままOKしてしまった。
更には
「夏祭り行く前に図書室に寄って行きなさい、開けておくから」
となぜか環先生にも誘われてしまった。
自分のようなものが夏祭りになんて行っていいのだろうか
そう悩んでいる間に気付けば当日になってしまったのだった。
早朝から硝子はそわそわしてしまって、
何度も毛布を綺麗に畳み直すという無為な時間を過ごしていた。
夏祭り。
それは夢のような世界である。
想像でしか知らないその空間に、今日自分は伊積恭介と共に足を踏み入れるというのか
それを思うと申し訳ないやらなんやらで
硝子は自分の顔を覆ってじたじたと暴れてしまいそうになるのだった。
約束の時間の1時間前に硝子は環先生に言われた通りに図書室を訪れていた。
片手で事足りるほど少ないワードローブの中、
何を着ればいいのかわからず結局制服を着てしまった硝子が恐々と図書室に入ると
そこにはなぜか茶々も居て
「おお!きたきた!」
「硝子君!待ってたわよー!」
とやたらとテンションの高い2人に引っ張られ、
カーテンの締め切られた図書室内の
いつもの机にやってきてしまった。
机の上には何やら布が広げてある。
「..え、えっと..一体何が...」
「伊積君とデートなんでしょ?」
「へ、え..!?で、...っ」
硝子は環先生の質問に顔が赤くなるのを感じた。
デートって、あのデート!?
いやいやそんなわけ...。
そうこうしている間に茶々にガシッと腕をホールドされ、
環先生はにこにこ笑いながら硝子の服を脱がせてくる。
「え、えええ....!」
硝子の叫びが図書室に響き渡る...。
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