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第95話 デート?
雛瀬先輩を夏祭りに誘ってしまいました。
誰にともなく報告しながら、恭介は腕時計の時間を確認し
ソワソワと浮き足立ち、妄想して悶えを一人で繰り返していた。
待ち合わせ場所である学校の校門の前を不審者のようにウロウロしては
途中で髪型を整えたりする。
つまりこれは、デート!!!!!!
恭介は飛び上がりそうな喜びをぐっと抑え、スマートにエスコートしなければと自分に言い聞かせる。
いつも自分の衝動が抑えきれなくなってしまうから
今日こそは彼を笑顔にするのだ。
そう心に誓う。
約束の時間が近付くにつれ心臓はドキドキと高鳴るのであった。
はぁ。雛瀬先輩。
そう思いながら自分の顔を両手で覆って頭に登る血を下げようとし続ける。
「....あ、あのう..」
不意に彼の声が聞こえ、がばっと両手を下ろした。
しかしそこに硝子の姿はない。
恭介は辺りをきょろきょろと見回した。
「雛瀬先輩?」
「..う、うん...すみません遅くなって..」
声は聞こえるが彼の姿が見えない。
振り返ると、半分閉じられた門の向こう側に彼は立っていた。
しかも隠れるように。
「いえいえ全然待ってな......」
硝子はおずおずとそちらから出てきては俯いている。
そこで恭介は笑顔のままフリーズした。
紺色に、黄色で控えめな蝶の柄が描かれた浴衣
一つにまとめられたしなやかな黒髪、白い肌
眼鏡の向こうの瞳は黒く澄んでいて、長い睫毛が恥ずかしげに下を向こうとしていた。
突如として現れた目の前の天使に恭介は変な汗が全身から吹き出すのを感じた。
「...その...環先生が...着せてくれて...変、だよね...」
天使は恥ずかしそうに頬を染めて泣き出しそうな目を足元へと向けた。
環ちゃん...。恭介は気が遠くなるのを一歩足を前に踏み出してなんとか持ちこたえた。
ありがとおおおおおお超ありがとおおおお環様ぁぁぁ!
「めちゃ、めちゃめちゃ、綺麗です!」
声がひっくり返りそうになりながら叫ぶと
天使は驚いたようにこちらを見上げ、複雑そうに口を歪めた。
「うん、そうだよね..俺には勿体無いくらい綺麗な浴衣」
そっちじゃない!
と思ったが恭介は鼻からブラッド状態に陥り思わず彼に背を向けた。
「持たない...絶対理性持たない....」
「いずみくん..?大丈夫?」
「全然大丈夫です!」
かなり大丈夫ではなかったがそう叫び
嬉しいやら幸先不安やらでめちゃくちゃになりつつも、
ぎくしゃくと商店街に向かう2人であった。
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更新せぬまま2年も経っていてすみませんでした(白目)
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