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第109話 思い出す、

まだそんなに慣らしていないのに。 そんな風に思ったのも一瞬だった。 「い...ーーーッ、..」 無理矢理身体を引き裂くように挿入された熱に全身を駆け巡る痛みに硝子は叫び声をあげそうになり、唇を噛み締めて耐えた。 奥へ行くことを拒む身体が逃げるように押し上げられるが、無理矢理押さえ込まれて突き立てられる。 「..ッ、...う....」 何度も何度も突き上げられ、無理矢理奥へと侵入され声も出ないほどだった。 目を見開いて天井を仰ぐが、視界は真っ白で何もわからなかった。 びく、びくと身体が痙攣して呼吸も忘れ心臓も止まってしまうかのようだった。 「はぁ...っ、はは...入ってしまったね...驚いたなぁ」 真一は愉快そうに笑いながら、硝子の膝を抱え激しく欲望を打ち付けてくる。 そこに快楽はなく 痛くて苦しい、のに、身体は少しずつ熱を持つ。 「..っ、ふ...う...」 身体が自分のものではなくなっている。 それを感じながら、硝子は彼の背中の向こうの小さな窓を見つめた。 いずみくん。 恭介の呼吸を思い出し、ぞくりと背中が震えた。 「あ....ッ、はぁ..」 目を閉じると、彼の姿が見えた。 すみません、いずみくん。 こんな風に彼を思い出すのは、悪いことだろうか。 彼を思うときゅうっと胸が苦しくて、でもその苦しさは不思議と嫌ではなかった。 そんな風に考えてしまっていたせいかは定かではなかったが 身体の中を掻き回す熱に、びくんと身体が反応してしまった。 「硝子...っ」 真一の声が耳元で響いた。 胸に噛み付かれた痛みと共に、恭介の姿は水で流したように消えた。

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