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第112話 才能の役目

「.....っ、はぁあ!?」 茶々は無駄に叫びながら自分の身体を抱くように両腕をさすりながら飛び跳ねた。 「っなんで!抱きつく!必要があんだよ!!?うっぜええ!」 茶々はひとしきり叫んだ後、今の思い出をかき消すために頭をフル回転させた。 新聞を!新聞を作らねば!!! そう思い立ちいつも活動している机へとギクシャクと歩いて行った。 いつも自分が座る席に腰を下ろし、 今は誰もいない向かいの席を見つめてしまう。 縮こまるように背中を丸めて文字を書く硝子の姿が浮かんだ。 「....っ、ぁあ〜もう!」 ガリガリと頭を掻きながら、茶々は再び叫んだ。 想い合っているのに、届かないなんて。 一体何が彼らをそうさせるというのだろうか。 この世には、すぐ乗り換えたり不義理を働く人間がごまんといるというのに。 茶々はテーブルの上に広がった写真や紙を見下ろし深いため息を零した。 低俗な才能が何かの役に立つのだろうか、 例えば人を救ったり。そう何度思ったか知らない。 茶々はやっと少しだけ本当の意味で自分を肯定できた気がして それは気のせいかもしれないけれど。 「..ウチは、ウチの仕事をしよう」 いつ2人が戻ってきてもいいように。 それが部長の役目なんじゃないだろうか、と思うから。

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