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第127話 ご挨拶

清一と恭介は向かい合わせに座り、茶々は清一の隣でジンジャエールを飲みながらそわそわと通路側を向いていた。 「..ウチは…出てったがいい…よね」 茶々は立ち上がりかけて、その腕を清一は咄嗟に掴み再び彼は着席した。 肩を竦めながら茶々は座り直す。 「..その...何から話せばいいのか....」 清一は頼んだコーヒーにも手をつけずテーブルの上に組んだ両手を見つめていた。 「お兄さん、もうこの際だから言いますけど 俺は雛瀬先輩..硝子さんのことが好きです、愛してます」 恭介の突然の発言に茶々はジンジャエールを吹き出し、 あい..ッ!?、と清一は目を見開いた。 恭介はテーブルを叩きつけるように立ち上がった。 「硝子さんを俺にくだ」 「ちょいまちいずみん!実は静かにテンパってんな!?」 ごほごほと噎せながらも止めてくる茶々に引き摺り下ろされ着席させられる。 「…っ、だって先輩..、何も話してくれないし、 なんで倒れるまで無理してんのかも、自分のこと蔑ろに出来んのかも、俺は..雛瀬先輩に笑ってて欲しいのに 俺のことなんか気にせずとか言うし...っもう、わけ、わかんねえよ 先輩がいなきゃ、なんの意味もないのに... 俺が頼り甲斐ないから?俺が無能だから…?俺のこと…どう思ってるのか……っ」 硝子の姿が思い浮かんで、視界が滲む。 楽しそうに笑っていた横顔も、一生懸命に文字を書く後ろ姿も、とぼとぼと歩く背中も 全部全部覚えている。こんなに脳裏に焼き付いて離れないのに、忘れることなんてできるはずがない。 「.....いずみん」 しんと静まった店内だったが、やがて清一も立ち上がった。 「君は本気で、硝子のことを想ってくれてるんだな...」 これ以上言葉が出なくて お互いの泣きそうな目を見続けてやがて茶々が清一の腕を掴んだ。 「もう恥ずいからやめてって...二人とも座って話そうや すみません、なんでもないっす。あはは」 様子を見に来た店員に平謝りする茶々であった。

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