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第132話 受諾

「..ただ、もうこれ以上は俺も我慢できません。 雛瀬先輩がこれからまたこういう目に合い続けるんだったら 俺はどんな手を使ってでも先輩を連れ出します。 たとえ先輩が嫌がっても…嫌われたとしても」 震える声でそう告げ、恭介は清一を睨んだ。 あと一歩遅かったら、彼とはもう二度と会えなくなっていたのではないだろうか。 そう思うととても恐ろしくて、悲しくて。 同時に彼がまだ存在している事にどれだけ救われているんだろう。 「....硝子は、家から離れた方がいいと僕は思う それは硝子にとっても、家族にとっても.. 君にこんな話をして、こんな事を頼むのは、 大人として本当に良くない事だと思うけど... 正直僕にはどうしてあげたらいいかがわからないんだ… 僕たちは硝子に恨まれても仕方がないことをしてきたから っだから、伊積くん」 清一は両手で恭介の手を取った。 強く握られながらも、彼は言葉が出ないのか泣きそうに呼吸をして頭を下げる。 「...硝子のこと...守ってやって欲しい...」 搔き消えそうな声で彼は告げる。 彼は彼なりに、辛い思いをしていたのだろうか。 助けたいのに助けられない気持ちは痛いほど分かる。 あの人を守れるのだろうか。 珍しく静かに壁にもたれていた茶々と目があって、彼は変な顔で笑った。 2人がそれでいいんならいいんじゃない。 そんな顔で。

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