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第134話 目覚めると

硝子は目を見開いた。 自らの呼吸の音がやたらと大きく響き渡り、状況がわからない。 「硝子...!」 声をかけられ、硝子は顔を動かした。 ぼやけた視界の中誰かが近付いてくる。 「目が覚めたんだね」 「....清、一さん...?」 その声で誰だか見当をつけて呟いた。 そういえば彼と話して居たような気がする。 あれはどれくらい前だったか、記憶が曖昧で硝子は起き上がろうとする。 しかし彼にそれを止められ、硝子は再び横になった。 「ここは...?」 「病院だよ。気を失ったの、覚えてない? 2日くらい眠ったままだったんだよ…」 硝子は静かに首を振った。 なんだか頭がぼうっとしていて、上手く思考が回らなかった。 「すみません...」 迷惑をかけている、それだけが確かな事実で 硝子は呆然と謝った。 「.....っ、謝るのは、僕たちの方だよ....すまない、硝子 早く助けてあげられなくて...本当にごめん」 そっと彼の指先が頭を撫でてくる。 大人しく頭を撫でられながら、硝子は瞬きを繰り返した。 「君をずっと苦しめてきた....」 彼の言葉に、硝子は首を横に振った。 「…苦しめてたのは、俺..だから...」 「硝子...違うよ…」 「俺がいるだけで、みんな....辛い気持ちになる... でも消えることもできないし、いなくなることも出来ない...」 「....違う、硝子は悪くない」 「....優しくしてくれても何も返せない...、何も持ってない... だから俺は、...っ、誰とも関わらず生きていかなきゃいけない.....いけない...のに...」

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