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第137話 ほんとうは

「本当は.....図書室に行きたい.....、 茶々くんや環先生と話して...新聞作って....っ いずみくんが作ったお菓子食べて... いずみくんと、.......一緒に、」 一緒にいたいと、思ってしまった。 硝子は思わず口が滑って、首を横に振った。 「...っ、一人で....平気だったのに.... 一人でいなきゃいけなかったのに いずみくんが...優しくするから.... 今まで耐えられたことも耐えられなくなって... 変な、期待..してしまう.....許せないこともできて...っ」 硝子は呟きやがてげほげほと咳き込んで、はらはらと涙が溢れてしまって。 「もう....いずみくんのせいでぐちゃぐちゃだよ...!」 「...うん、ごめんね..先輩... でも、先輩は出来損ないなんかじゃ絶対ない。 先輩は、ここに居ていい.. 先輩がしたいこと、していいんだ」 頭の中がぐちゃぐちゃで、たくさんの声が響いていた。 そんなこと許されると思っているのか、 非難する声は大きいが、 彼はぎゅっと抱きしめながら背を撫でてくれる。 その暖かな温度が心地よくて。 「先輩が、必要だよ」 「...、...っ」 これは夢なのかもしれない。 硝子は彼にしがみ付いて、大声で泣いた。 肯定されることのない存在、だったのに。 許されないことだとしたら どんな風に、生きていけばいいんだろう。 あなたなしの世界を。

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