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5.キス…

悠貴は先ほど乱暴にどかした椅子の背を掴み元の場所に戻すと、音を立てながら乱暴に座った。 そして、足を組むと、机に座ったままの葵を見上げた。 「ねぇ、葵先輩。自分の舌で歯の裏側とか上顎、舐めたことあります?」 「ない…」 「じゃあ、舌を入れられていると思いながら、自分で舐めてみてくださいよ」 「自分で…?」 「もちろん。ほら、目を瞑って…。すごく気持ちいいですよ」 本当は今までキスもセックスもしたこともない童貞の悠貴だったが、見聞きした情報を、あたかも体験談のように葵に甘く囁いた。 「篠田…」 悠貴に言われるがまま目を瞑った葵だったが、不安そうに助けを求めるような声を漏らす。 そんな葵に、悠貴は安心させるように優しく声をかけた。 「さっきみたいに悠でいいですよ。ほら…」 「悠…」 「そう。それで、葵先輩の頭に浮かんでいるいやらしいこと、して欲しいこと、素直に全部口に出してください」 「悠…」 もう一度目を瞑ったまま名前を呟いた葵は、まるで本当にキスをされているかのように少し顎を持ち上げると、舌を口内で動かし始めた。 「どうですか?感想は」 葵の口が微かに動いているのを見上げながら、悠貴は自身のものが熱くなっていることに気付き、ゆっくり足を組み替えた。 「歯の裏側舐めるより…上顎を舐めたほうが…ゾクゾクする…」 「気持ちいいですよね?」 「うん…」 「でも、葵先輩は…。本当はどうやって口の中を犯されたいですか?俺にちゃんと教えてください」 「ふぁ…」 葵は目を瞑って吐息を漏らすだけで、悠貴の質問に答えようとしなかった。 「ほら、葵先輩。ちゃんと言葉にしてくださいよ。じゃないと…」 腰かけていた椅子から悠貴は立ち上がろすると、気配を感じた葵は、呼び止めるように必死に首を横に振った。 「ゆ、悠の舌が、俺の舌を優しく絡めとって…」 「…。それで…?」 「舌先と舌先を、何度も擦れ合わせるように舐め上げられて…」 「ああ、葵先輩は優しくねっとりされるのが好きなんですね。腰、自然に動いちゃってますよ…。そんなにキスが気持ちいいんですか?」 「うん…気持ちいい…」 悠貴がどこにもいかないと安心したように、うっとりとした声で溢した葵は、まるで行為に溺れるように、そのまま少し口を半開きにして、舌を動かした。 微かに見え隠れする葵の舌の動きと、本能で前後に動いてしまう腰の動きは、悠貴が今まで見てきたその手の本や映像とは比べ物にならないほど淫靡で、興奮させた。

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