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9.本当は…

「もしかして…イッた…の?」 肩で息をしながら、葵は悠貴に背中を預けながら質問をした。 「うっ…」 悠貴は触ってもいないのに達してしまったことが恥ずかしくなり、見つめてくる葵から顔を逸らした。 「葵先輩が…可愛くってつい…。だって俺、こんなの初めてで…。あっ…!」 「えっ…?」 自分が童貞だということを悠貴はつい漏らしてしまうと、葵は目を丸くして驚いた顔をした。 「初め…て?えっ?だってさっき、こういう…触らないのが好きだって…」 「いや、俺は本当は触った方が…。いえ、触るのも初めてなんですが…。ただ、葵先輩に少しでも俺を見て欲しくて…。でも我慢出来なくなって、触れてしまいました。俺、最低ですよね…」 子供じみた対抗心だったと、悠貴はさらに自己嫌悪に苛まれ、きつく目を閉じてしまう。 「俺、葵先輩が兄のことを思い浮かべているのが悔しくて…それで…」 「ん…?」 「俺に触られるの嫌でしたよね…。兄でもないのに…調子に乗って、本当にすみませんでした」 「えっ、なんで悠斗…?」 葵は首を傾げた。 「だから…葵先輩は兄に…」 「…。なんだか、お互いに大きな勘違いしているみたいだね」 先ほどから会話が噛みあっていないこと気付いた葵は、深い溜め息をつくと笑みを浮かべた。 「えっ…?」 理解出来ていない様子の悠貴に、もう一度葵は溜め息をつくと、葵は悠貴の膝の上で向かい合うように座りなおした。 そして、悠貴の頬に手を伸ばし触れると、まっすぐと悠貴の目を見つめた。 「俺が好きなのは…悠貴だよ。悠人じゃない」 「えっ…?」 葵の言葉の意味を悠貴は理解出来ずにいると、葵は悠貴に軽く唇を重ね、もう一度見つめると笑みを浮かべた。 「えっ?!えっ?そんな…」 悠貴はまだ状況が理解出来ず、慌てふためいた。 「だ、だって葵先輩、一人でしている時から、悠って名前読んでだじゃないですか。あれって兄のことですよね?」 「俺、悠斗のことを悠なんて呼んだことないよ。悠っていうのは…。俺が勝手に悠貴のことを、心の中でずっとそう呼んでいただけで…」 「俺のこと…?でも、なんで生徒会室の机なんかで…」 「それは…。さっきまで窓から悠貴が練習していたのを見ていたから…。窓に向かってすれば、悠貴に見てもらっている気がして…」 「そんな…。で、でも、触られるより、見られた方が葵先輩は興奮するんですよね?」 「俺は別に…。悠貴がそういうのが好きだっていうから合わせただけで、俺だって本当はさっきみたいに直接触られた方が…」 葵は頬を赤らませながら口籠ってしまった。 「はぁー…」 そんな葵を見つめ、悠貴は安堵の溜め息をつくと、葵を片手できつく抱きしめた。 「よかった…」 「俺を勝手に特殊性癖持ちにしないでくれる?だいたい…」 腕の中で抗議し続ける葵を、悠貴はもう一度強く抱きしめた。 「好きです…。初めてあなたを見た時からずっと…」 「…。ずるい…。今、それを言うなんて…」 悠貴の鼓動が速いことを感じながら、葵は悠貴の腕の中で首を横に振った。 「ちゃんと、俺の顔を見て言ってよ…」 「はい」 悠貴は葵を抱きしめていた腕を緩めると、葵をまっすぐ見つめた。 「好きです、葵先輩」 葵の目を見つめると、その目には自分だけが映っていることに安堵した悠貴は、まるで吸い込まれるようにゆっくりと唇を重ねた。 「んっ…」 重ねるだけのキスを何度も繰り返ししていると、葵は悠貴の頬を包むように両手で掴み、自分から舌を差し入れ悠貴に絡めた。 「っ…葵…先輩…」 「ずっと、ずっとこうしたかった…」 唇を離した葵は、悠貴のものにズボンの上からそっと撫で上げるように触れた。 「ちょっと、先輩…」 もう硬さを取り戻しつつある悠貴のものは、葵に触れられることでさらに大きさが増していった。 「俺で…興奮する?」 「そんなの当たり前でしょ…」 「それなら、もっと俺で興奮してよ。俺なしで生きられなくなってよ…」 切なそうに見上げてくる葵に、悠貴は息を吞む。 「葵先輩って…」 「こんな俺、嫌いになった?」 「いえ…。もっと…好きになりましたよ」 悠貴はもう一度葵に唇を重ねようとするが、葵は急に悠貴の膝から立ち上がると、先ほどのように机に座ってしまった。 「葵先輩?」 追いかけるように思わず椅子から立ち上がった悠貴は、葵が吐き出した欲望で濡れたままだった手を葵に掴まれた。 そして、その手は葵によって葵の秘部まで導かれ、葵の手を重ねられながら秘部に擦り付けるように触れさせられた。 「悠貴の童貞、俺にちょうだい。それで、悠貴は俺なしじゃ生きられなくなってよ」 「葵先輩…」 「ほら、ここ…。本当はここに、悠貴のが欲しくてたまらないんだ」 触れさせてくる葵の秘部は、葵が言うように、まるで悠貴を待ちわびているようにヒクついていた。

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